研修を終えた太一は、自分たちが変わっていけば世界も変わっていき、航平と一緒にいることが特別なことにならず普通のことになるのだと気づきます。
航平のほうは太一のおじいさんに背中を押され勇気づけられました。航平を追って走り出した太一は、歩道橋の上から航平を見つけます。前回の復習はこちら。
ひだまりが聴こえるリミット3巻16話 ネタバレ感想
それでは以下「ひだまりが聴こえるリミット」最終話のネタバレ感想です。
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ひだまりが聴こえるリミット3巻最終話 感想 ネタバレあり
あんたの声なら絶対に先輩に届くんだから
航平を追って走り出した太一は、歩道橋の上から航平の姿を見つけました。大声で呼びますが後ろからだしこの距離では航平には届きません。
あきらめて航平のもとへ向かおうとする太一は、スマホを見ながら歩く航平のそばに大型トラックが迫っていることに気づきました。
歩道橋の上から身を乗り出して必死で大声を出す太一。しかし航平には聞こえません。しかしふと振り返る航平。太一の心からの叫びは航平に届いたのでした。
(あんたの声なら絶対に先輩に届くんだから)
太一はマヤちゃんの言葉を思い出して思わず涙があふれだします。
ところが次の瞬間、歩道橋から落ちそうになっていた太一は、通りがかりの人に助けてもらって事なきを得たのでした。
俺は手話が好きなんだよ!
千葉さんが久しぶりに実家に帰ると、リュウ君も規制していました。千葉さんはリュウくんのいる庭に向かいます。
「リュウ、お前は俺がお前のために手話をやっていると思ってたのか。俺がお前の世界に入り込むのが嫌だったから避けてたのか?」
千葉さんが今の会社に入ると聞いた時も起こっていたリュウくん。
「俺が会社に入ったのはお前のためじゃない。手話が好きだからだ」
兄の思わぬセリフにぽかんとするリュウくん。
千葉さんは再び口を開き「俺は手話が好きなんだよ!」と真っ赤です。最初はリュウ君と話すために覚えた手話。だけどだんだんとハマって面白くなっていったのです。
大学で手話サークルに入っても物足りなかったので、千葉さんは自分の意志で今の会社に入社したのでした。
千葉さんはずっと、どうしてもっと皆が手話を知ろうとしないのか不思議に思っていました。
しゃべらなくても意思を伝えられるというのはすごいことなのに、誰もそれを分かろうとしないのが不満だったのです。
だからみんなが手話を当たり前に使える世界にしたくて今の会社を選びました。誰かのためではなく、ただ自分がそうしたかったからです。
今の会社に入ってから、千葉さんは聴こえないということが世間では大きな壁になるということを痛感しました。それまではリュウ君と一緒にいたから、そんな壁を感じたことがなかったのです。
しかしそう思っていたのは千葉さんだけで、リュウ君はそれを感じていたかもしれません。
「だからこそ俺は手話を広めたい。世間の壁を取っ払うたえに手話がきっかけになればいいと思ってる」
千葉さんが手話を知るきっかけになったのは、まぎれもなくリュウくんがいたからです。今の千葉さんがあるのはリュウくんのおかげです。
「俺の弟になってくれてありがとな」
無反応なリュウ君にそれ以上かまうことなく、千葉さんはリビングに戻ります。庭に残されたリュウくんは大粒の涙を流すのでした。
俺の一番大事な奴のこと、そんな風に言うな!
航平と太一は地上で落ち合いました。太一はスマホを見ながら歩いていて赤信号を渡ろうとしていた航平に怒り心頭です。あまり反省の色がない航平に思い切り頭突きをして怒りを表現しましたw
太一は驚く航平のほほを掴んで不安げにつぶやきます。
「お前がいなくなるかと思った。もう二度と会えなくなるかと思った」
「言いたい事があるならメールじゃなくて直接言えよ」太一にそう責められた航平は口を開きます。
「太一に嫌われるのが怖かった。俺みたいなのといたら太一がかわいそうだと思ってた…」
航平が自分のことをどうでもいいみたいに言うとき、いつも腹が立って仕方がなかった太一。
「心細くても怖い思いをしてもお前のことを考えたら平気だった。いつもお前がいたから頑張れた」
太一はいつも航平のおかげで前に進めていました。航平にはずっと笑っていてほしいと思っているのに、その航平が自ら自分がダメな人間だというたびに辛かったのです。
「俺の一番大事な奴のこと、そんな風に言うな!」
言うなりとびかかるようにして航平にキスをする太一。自分からしておいて真っ赤になってしまいます。がしかし次の瞬間、今度は航平のほうから激しいキスを返します。
ベンチに押し倒す勢いの航平に驚く太一。
「ごめん太一。太一を離してあげられない。誰にも渡したくない。そばにいたい」
涙する航平はようやく、絞り出すような声で太一に自分の気持ちを打ち明けたのでした。
「ずっと俺のそばにいろ」
航平を抱きしめながら、太一は思います。
(俺にとっての当たり前が、お前にとってもそうであってほしい)
航平が本当に望んでいること
翌日、フットサルに参加すべく航平はグラウンドに向かいます。リュウくんは航平に人工内耳をどうするのか聞いてきました。
「悩んだけど着けないことにした。今のところはね」
もともと聴力があった航平には、元のように聴こえたらいいなという気持ちがもちろんありました。しかし手術しても完ぺきに元通りになるわけではありません。
「むしろ聴こえがよくなることで、また自分の無神経さを思い知るような気がする」と航平は静かに語ります。
「俺が本当に望んでいるのは聴こえることじゃなくて、コミュニケーションをとることだなって思って」
相手を理解したり理解してもらうことは、聴こえないからできないことではないのです。聴こえる側でも聴こえない側でもないからこそ、わかることがあるかもしれない。
「だからもう少し今の俺のままで頑張ろうかなと思って。やり尽くしてからまたどうするかは考えるよ」
リュウくんのほうにも変化がありました。新作ゲームは高評価ですが、嫌だった雑誌取材も受けることにしたのです。
まずゲームの存在を知ってもらわないことには、興味を持ってもらうことすらできません。それではまともに勝負もできないのです。
「表に出れば当然偏見持たれると思うけど、俺らが反でしょってるとか思わせないくらい、いいもん作ればいいだけだし」
相変わらず男らしいリュウくん。航平には社労士になること以外の夢もありました。しかしそれはリュウ君には秘密です。
そこへ太一がやってきました。太一はリュウ君にも普通に挨拶をしてきます。太一を気に入ったのか、リュウ君はとつぜんデコピンしてじゃれてきました。
「何すんだこのオレンジ頭!爆笑してんじゃねーよ!」
フットサル日和の休日に明るい笑い声が響きわたるのでした。
感想まとめ
歩道橋でのシーン、本当に太一の声は航平には特別に届くんだなと感動してしまいました。太一も航平も再会して気持ちをぶつけあえて本当に良かったです。
あふれ出す想いも涙も激しいキスも、お互いを必要としていて幸せになりたいからこその激情です。2人でいることが特別にならないような世界になっていくといいなと心から思いました。
航平の夢というのは社労士以外だと、太一と一緒に暮らすとかそういうプライベートな夢のことでしょうか。まだ航平は大学生だし先の話になるでしょうが、いつか叶うといいですね。
そういえば最初に2人で話していた太一と航平の旅行の話もなくなってしまったし、そのあたりはどうなるんだろう?この後しれっとお泊りに行っちゃうのかな。
そしたらまた次のステップに進むってことですよね。ドキドキ。お話として読んでみたい気もするし、ここでおしまいでも十分満足できるから、ひだまりシリーズはおすすめです。
千葉さんとリュウ君の兄弟の関係もすごく素敵でした。リュウ君と出会えたことに千葉さんが感謝しているのだとリュウ君本人に伝わってよかったです。照れてる千葉さんがかわいかった。
何度も言いますが、ひだまりが聴こえるシリーズは、いろんなことを考えさせられて、学生の課題図書とかにしてもいいくらいの良書だと思います。
BLというだけで一般の人が手に取らないなんて本当もったいない。BLの枠を超えて広くたくさんの人に読んでほしいと思いました。
文乃ゆき先生、連載お疲れ様でした。またひだまりシリーズ続編か、新しい作品を楽しみにしています!
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