将来の夢をかなえるべく大学時代はテレビ局のバイトに精を出していた卯坂さん。文化祭実行などもこなしつつプロデューサーとしての腕を磨いているのでした。
そんなある日、大学でひょんなことから音楽の才能に満ち溢れたアリス先輩と出会います。アリス先輩の歌に魅せられた卯坂さんをアリス先輩も気にかけていて…。前回の感想はこちら。
抱かれたい男1位に脅されています7巻6話 ネタバレ感想
それでは以下「抱かれたい男1位に脅されています」の7巻7話(29話)の感想です。※ネタバレ注意です。
抱かれたい男1位に脅されています7巻 電子配信
抱かれたい男1位に脅されています7巻29話 感想 ネタバレあり
見上げられる側にいる太陽みたいなやつ
大学の学食で激辛カレーを黙々と食す卯坂さん。周囲の学生にとっては、食べていないのに喉や目が痛くなるという被害の大きなカレーのようですw
文化祭のステージで圧巻の声を聴かせられた卯坂さんは、あれ以来アリス先輩のことがずっと気になっていました。
アリス先輩の歌声は、まわりの軽音部からも憧れ畏れられていました。やっかみや妬みなどの気持ちすら起きてこないほどの圧倒的な才能。
「張り合ってもしょうがないだろ。あんな見上げられる側にいる太陽みたいなやつと」
卯坂さんは、文化祭で雨のステージで歌うアリス先輩の映像を見ながら「太陽」というアリス先輩への評価に、どこか違和感を感じていました。
そこへアリス先輩がひょっこりと顔を出します。あの後も神出鬼没でなにかと卯坂さんにかまってくるアリス先輩。
「俺の歌、聞きたいか?」
「出ると約束してくれるなら媚びてあげますが」
「いいステージ用意しとけよ」
カリスマ性があり誰もが距離を保ちがちなアリス先輩にも、卯坂さんは堂々と渡り合っています。軽口をたたきあう2人に周りは驚くばかりなのでした。
この男は異物(独り)だ
2年生になり、アリス先輩の歌を聞いてから1年後の文化祭当日。卯坂さんは去年とは違う、より良質なステージを用意していました。
広報のおかげで集客も十分、それを見越して腕の良い業者に口利きをしてもらうなど、音響環境を重点的に設営した舞台。
しかしアリス先輩は、どんな立派な舞台にも圧されぬ異様な魅力で観客を沸かせたのです。
(あの男をはめ込む場を与えたつもりが、逆にアレの異物さだけが際立った。次はうまくやる)
3年生になってからも実行委員として動く卯坂さんは、ステージ出演の約束を取り付けるべくアリス先輩に屋上へ会いに行きます。
芸能事務からのスカウトから、のらりくらりと逃げ回っているアリス先輩。
そんなアリス先輩のこととなるとどこか殺気立つ卯坂さんは、たった一人でキーボードを弾くアリス先輩の背中を見て思います。
「この男は異物(独り)だ」
俺が好きなんだろ。実行委員
アリス先輩から「俺がどう見える?」と問われた卯坂さんは、とっさに湧き上がってきた自分の感情にふたをしてしまうのでした。
この時に踏み込んでおけば変わっていたかもしれない2人の関係。しかし卯坂さんは、踏み込まずにとどまりました。
(俺がこの存在から得たものは、苛立ち、焦燥感、無力感、そして高揚を伴う自分への嫌悪感)
在学中、アリス先輩という正体不明のピースを手に踏みとどまっていただけだった卯坂さんは、アリス先輩の卒業を機にパズルを放棄できると考えます。
舞台後、疲れて眠るアリス先輩にキスをしようとして、起きていたアリス先輩に逆に仕掛けられました。
「俺が好きなんだろ。実行委員」
「黙れ、シャレにならん事になるぞ」
自分の気持ちを認めながらも、そんな自分が心底嫌いになっている卯坂さんは、思わずアリス先輩に襲いかかります。
お前には俺がどう見えてるんだ
「お前やっぱりおもしろいな。会ったときからすげぇ目で見てきやがって。けどやめとけよ。これ以上はおもしろくない」
「勝手に決めんなや」
やんわりと制止するアリス先輩とやめられない卯坂さん。アリス先輩を抱きながら卯坂さんは本当にアリス先輩を見つけようとします。
「やっぱりあんたは太陽じゃない」
「なんだよ俺はてっきり…お前は楽しむんだな。お前には俺がどう見えてるんだ」
「星」
今にも破裂しそうな膨れ上がった星のように見える卯坂さんは、そのまま無抵抗のアリス先輩を抱き続けるのでした。
その後、アリス先輩は芸能事務と契約し、大学を中退します。それから一度も会うことなく2人は関係を断ったのでした。
卯坂さんとアリス先輩の過去を知らない高人とチュン太は、相変わらずの絶賛レス期です。
チュン太がスタジオに差し入れを持参してきたところで、卯坂さんがアリス先輩を連れてやってきました。
2人芝居の楽曲担当としてアリス先輩を紹介する卯坂さん。アリス先輩は、高人を「すっげえ猫っ毛!猫ちゃんか」と一目で気に入ったようです。
感想まとめ
猫ちゃん同士でわしゃわしゃしてるのが平和でいいですね。高人は現状が理解できずに茫然としてますが。チュン太もノリノリだしw
アリス先輩は自ら光輝くまぶしい太陽ではなく、太陽の光を浴びてこそ輝く星なのではないかという認識だった卯坂さん。
真っ先に学生時代にそれを感じ取っていたけれど、うまく伝えることもできず、自分の感情を素直に認められず、結果実力行使に出てしまったことで、結局2人の関係は断絶されてしまいました。
卯坂さんも、埋まらなかったパズルを仕上げたかったはずなのに、その最後のピースを手にしていながらも、パズルを完成させずに大切なピースを手放してしまいました。
その後エンタメの世界、テレビの世界に入って仕事にのめりこんだことで、やっと今の立場を築き上げたのでしょう。完成しなかったパズルを胸に抱えながら。。。
いっぽう学生時代のアリス先輩は、その持て余し気味な才能を生かすべく、自らをよりいっそう輝かせてくれる何か(誰か)を待っていたのかもしれません。
圧倒的なカリスマ性とその豊かな才能がゆえに周囲から距離を置かれがちなアリス先輩には、彼の繊細さや本質を理解し、支えてくれる存在が必要不可欠だったのでしょう。
その役割を卯坂さんに期待したものの、お互いに若すぎたこともあって、結局うまくはいきませんでした。
孤独と絶望とともに、卯坂さんにただ抱かれるアリス先輩が切なかったです。
デビューして5年で歌をやめてしまったのも、輝かせてくれる存在がいないと、たったひとりでは歌えなくなったということなのかもしれません。
次回は4/7発売のマガジンビーボーイ5月号です。
それではまた次回の感想でお会いしましょう。
追記)続きの感想を書きました。
抱かれたい男1位に脅されています8巻30話 ネタバレ感想
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