子供の頃、ひとりで子育てや仕事をこなしていた兄の孝浩にはわがままを言えなかった美咲。しかし孝浩にとって、美咲は大切な大切なたったひとりの家族なのでした。
そんな兄に、美咲はウサギさんとのことを話す覚悟を決めます。英気を養うべく訪れた温泉地では、ウサギ母や薫子さんたちと思わぬ再会をして、ひと時の楽しい時間を過ごすのでした。前回の復習はこちら。
純情ロマンチカ25巻50話51話 ネタバレ感想
それでは以下、中村春菊先生の「純情ロマンチカ」52話の感想です。ネタバレにご注意ください。
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純情ロマンチカ52話 感想 ネタバレあり
まずは俺自身がちゃんと兄ちゃんに話したい
美咲が小さいころ、兄の帰宅を待ってマンションの前の公園でひとりでブランコに乗って待っていたことがありました。
友達と一緒に遊んでいる間は楽しかったけれど、夕食前にはみんなが家に帰って行って、ひとり取り残されていた美咲。
いつまでたっても誰かを見送ることは慣れなくて、それでも寂しくはありませんでした。なぜなら美咲には大好きな孝浩兄ちゃんがいたからです。
暗くなってから帰ってくる孝浩は、ときどきオムライスまんを買ってきてくれました。いつだって美咲のことを大事に思っていてくれた孝浩。
そんな孝浩に、美咲はついにウサギさんとの関係をカミングアウトする決意をします。ラインで約束の日程をとりつけ、今から胃が痛くなって緊張してくる美咲。
孝浩のほうは、今後の美咲の身の振り方について話しあうというつもりでいます。いつまでもウサギ宅にいるのではなく自立しなさいというお説得をするつもりなのでしょう。
まさか美咲とウサギさんが恋人関係になっているなどとは夢にも思っていないはずです。
「一緒に行くか?」
「大丈夫。まずは俺自身がちゃんと兄ちゃんに話したい」
ウサギさんの手助けなしに、まずは兄弟でちゃんと話し合いたいという美咲に、ウサギさんも温かく背中を押してくれるのでした。
キスしているところを見られた!
兄に対してこれまであまりわがままを言ってこなかった美咲。でもこれだけは、ウサギさんとのことだけは、どうしても自分の口から正直な気持ちをありのまま伝えたいのです。
美咲は孝浩が都合よく理解してくれるとは思っていません。兄に嫌われたくないのも事実です。
でも、こうやって孝浩が話し合いに応じてくれるのだから、精一杯、嘘はつかずに冷静に、そして正直でいたいと美咲は思うのでした。
約束の場所まで車で送ってもらう美咲は、車内でもガチガチに緊張しすぎていました。ウサギさんはそんな美咲を落ち着かせようとキスをします。
「美咲なら大丈夫。勇気を持て」
もしどうしようもなくなったら俺を呼べ、と優しいウサギさん。何の根拠もないけれど、ウサギさんがそういってくれるなら大丈夫な気がしてくる美咲なのでした。
がしかし。車中でキスしているところを、まさかの孝浩兄に見られてしまいます!
驚いて車から降りるウサギさん。
「二人とも何してんの?お前達って何なの…?」
呆然と問いかける孝浩。まさかこんな形でバレるとは思っていない美咲は頭が真っ白になってしまいました。
昔よく行った公園で話す孝浩&美咲
結局ウサギさんには帰ってもらい、兄弟2人きりで話すことになります。
無表情の孝浩と美咲は、予定していたお店から離れて電車で移動をするも、どこへ向かっているのかすら、美咲に聞けるような雰囲気ではありません。
上手く伝えられるように何度もシュミレーションしてきたのに、義理の姉も応援してくれていたのに、よりによって最悪な形で孝浩に知られてしまい、もう顔が上げられない美咲。
たどり着いたのは、昔兄弟2人で住んでいたマンションの前の公園でした。
「ここならゆっくり話せるかなって」
美咲とは目も合わせずにコンビニに向かう孝浩。うつむいて、もうどうして何を話せばいいのか分からなくなっている美咲は混乱していました。
戻ってきた孝浩は、そんな美咲の小さな姿に小学生だったころを重ねます。いつもひとりで自分の帰りを待っていた美咲。
2人はベンチに座って、孝浩の買ってきたサンドイッチを食べながら話します。
おれウサギさんの事が好きなんだ。
「さっきは感情的になってしまってごめん」
「俺のほうこそ今まで黙っててごめん」
「じゃあウサギとそういう関係なのは本当なのか?」
「うん」
「いつから?」
「大学はいる頃からかな」
「そんな前からだったのか」
一生懸命言葉を探す美咲ですが、結局はシンプルに今一番言いたかったことを口にします。
「おれウサギさんの事が好きなんだ。だからずっと一緒にいたいんだ」
働き出したらちゃんと家賃も払うし家事も今まで通りにやること、甘えるつもりはないし、孝浩に迷惑をかけるようなこともしない。
そんなことを話しながらも美咲は、心臓の音が大きく鳴り響いていて、自分で何を言っているのか分からなくなってきます。
「間違ったことしてるかもって何回も考えたんだけど、俺わがまま言ってんのかな」
一気に話して息を切らせる美咲。
「こんなこと言ってごめん。でも俺自分で思ってた以上にウサギさんのこと好きみたいで」
せき込む美咲を落ち着かせながら、今度は孝浩が口を開きました。
信念があるなら謝るんじゃない!
「今回、美咲がこんなにも強く自分の事話すなんて思わなくて、驚いたんだよね」
子供の頃からわがままらしいわがままも言わず、我慢ばかりしてきた美咲のことを考えながら話す孝浩。
どうして頑なにひとり暮らしを拒否するのかなど、ずっとわからなかったことが、今の話を聞いて全部腑に落ちました。
「俺の想定外のことだからけで、まだちょっと簡単には理解できないって状態なのはわかってほしい」
「うん、それは全然」
「俺今まで自分の理想を美咲に押し付けてるような言動をとってたんだな。ごめんな」
孝浩は、あのころと同じようにまだコンビニで売っていたオムライスまんを美咲に手渡します。
「俺はさ、お前がいつだって幸せになることを願ってて。それはこれからも変わらないって、それだけは信じてほしい」
「うん」
ここで泣いたら孝浩を困らせるだけだと美咲はぐっと涙をこらえます。話し合いを終えて、帰ろうとする孝浩に、美咲はふたたび謝りました。
「兄ちゃん、ほんとごめん」
「謝るんじゃない!信念があるならそれを貫きなさい」
孝浩は厳しい表情で言い放ち、去っていきました。
兄を信じて待つしかない美咲
優しい孝浩は、美咲を傷つけないように必死に言葉を選んでくれました。そのことは美咲が一番よく分かっています。
否定も肯定もせず去っていった孝浩。この後、自分たち兄弟の関係がどうなっていくのかは美咲にも分かりません。
ぐちゃぐちゃになった気持ちを引きずりながら帰ったところで、ウサギさんの顔を見た途端、美咲は緊張の糸がゆるんで大泣きしてしまいます。
「兄ちゃん当然だけど混乱してた。でも俺を責めたりとかはなくて。すぐには理解できないって言われたから、兄ちゃんの出す答えを待とうと思う」
頑張った美咲をほめてくれたウサギさん。いつもなら恥ずかしくて逃げだすところを今日だけは美咲も甘えます。
エッチのときもいつになく素直で「気持ちいい」とはっきり言う美咲を、ウサギさんは心から愛しく思うのでした。
美咲の兄様なんでしょ?なら大丈夫に決まってるじゃない
翌朝、泣いて晴れた目で起きてきた美咲を、遊びに来た薫子さんが待ち構えていました。
美咲は、自分たちの事情を知っている薫子さんに昨日のことを簡単に説明します。
「わかってもらえるには時間がかかりそうかなーって。だからまだはっきりとは…」
「平気でしょ?」
「え?」
「だって美咲の兄様なんでしょ?なら大丈夫に決まってるじゃない」
薫子さんのキッパリとした言い方にぽかんとする美咲。そういうものかな?と今一つぴんと来ていません。
美咲は鎌倉に行ったときのビー玉を見つめます。あの時願った3つのこと。
1つめは背が伸びますように。2つめは兄家族が幸せに暮らしますように。そして3つめはウサギさんとずっと一緒にいられますように。
3つめが叶うかどうか、2つめの兄とはどうなっていくのか、今の美咲には祈ることしかできないのでした。
純情ロマンチカ52話の感想まとめ
車チューを見られたときはひいぃい!って感じでしたが、予定通りにはいかないのが恋の醍醐味のひとつです。
孝浩兄ちゃんもさぞやびっっっっくりしたことでしょう。親友と弟がキスしてたわけですからね。
でも孝浩はさすが大人です。冷静になろうと場所を移して、きちんと弟の話に耳を傾けてくれました。
奥さんの真奈美さんからの援護射撃もあって、美咲をいつまでも子供扱いして大人として見ていなかったこと、自分の理想を押し付けてしまいがちだったことも反省しています。
美咲の幸せを心から願っている孝浩の気持ちは、2人きりで力を合わせて生きてきたこれまでの経緯を知れば本当によく分かります。
孝浩が考える美咲の幸せと、美咲の考える幸せが今はまったくつながっていない状態なのでしょう。
まさか自分の親友であるウサギさんとともに生きることが美咲の幸せだとは、想像もしていなかったでしょうから。
すぐに理解してもらうのは難しくとも、薫子さんの言う通り美咲の兄でウサギさんの親友なのだから、少し時間が必要なだけできっと大丈夫。そう信じたいです。
そして孝浩の「信念があるなら謝るな」という言葉が、美咲には刺さったのではないでしょうか。
つい「ごめん」を多用しがちな美咲に今からもっと必要になるのは、揺るぎない信念なのかもしれません。
兄として、弟にはなんの後ろめたさも感じることなく、堂々と生きていってほしいはずです。
孝浩の厳しさをはらんだ言葉は、美咲を傷つけない言葉を選んだと同時に、たったひとりの弟の幸せを願う兄の真摯な精一杯の気持ちが込められていたのではないかと思いました。
次回は2020年12月末発売のエメラルド冬の号です。
それではまた「純情ロマンチカ」53話の感想でお会いしましょう。
追記)53話の感想を書きました。
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