家以外の場所では仕事仲間に徹すると決めた源介と惣五郎は、お互いに一番の相方になろうと仕事にまい進しています。
2人は菊右衛門と寿一郎のかつての絶縁の理由を調べ始めますが、結局は真相は分かりませんでした。そんな時、惣五郎に新しい仕事が決まり…。前回の復習はこちら。
花恋つらね8巻49話 ネタバレ感想
それでは以下「花恋つらね」50話のネタバレ感想です。
花恋つらね8巻 電子書籍
花恋つらね50話 感想 ネタバレあり
見どころ満載の大人気作品の主役におれが?
惣五郎に振られた次の仕事は、弁天小僧菊之助。通称「白波五人男」の登場人物です。弁天小僧が活躍する場だけ抜粋されたのが「弁天娘男女白波」
戦隊ヒーローものの原点となったと言われる5人の盗賊が立ち並び、それぞれ名乗りを上げる名場面が観られるのもこの演目です。
また歌舞伎の決め台詞のなかでも有名な「知らざぁ言って聞かせやしょう」などもこの演目で聞けるのです。
(見どころ満載の大人気作品の主役におれが?)
菊右衛門さんから聞いた惣五郎は、ベッドに正座して緊張してしまいました。そしておもむろに源介に会う約束をとりつけるべく、ラインを送るのでした。
立役と女形のどっちも必要なお役
翌日、源介のマンションで落ち合う2人。源介は今か今かと惣五郎を待っていて、あった瞬間にギュッとハグします。
お互い外ではいちゃつかないと決めて以来、同じ舞台に立っていても念のためバラバラに帰宅するようにしているなど、約束厳守を徹底していました。
久しぶりの惣五郎に玄関でキスをする源介。どんどん止まらなくなる源介をなんとか制止した惣五郎は口を開きました。
「えっ惣五郎が弁天小僧やるの?マジか!すげえ!」
「おれもびっくりした」
弁天小僧は最初は助走で出てくる美少年。しかし中身は稚児(僧侶の男色の相手)あがりで苦労した、すれっからしの小悪党です。
悪事がバレると開き直ってキレキレのセリフをまくしたてるのがかっこよくてギャップ萌えだと大人気なのです。
源介はそんな弁天小僧が大好きなようで、惣五郎も昔からずっとやってみたかった役なのでした。
「立役と女形のどっちも必要なお役だから大変だろうけど」
「それって再来月の演舞場?」
「うん」
源介は真っ青になってしまいます。再来月、源介は巡業中で東京にはいないからです。
歌舞伎界の上の人たちに期待されている惣五郎
「俺が観れないときにそんないい役するの!?」
「そんなこと言われても。録画もらったら見せるから」
「あー絶対良い!惣五郎の弁天小僧絶対良い!生で見たい」
この配役には、おそらく歌舞伎界の上の人たちの強い意向があったのでは?と源介は推察します。
かっこいい惣様の需要が上がっている今、ドラマで王子かっこいいと言っているファンたちを取り込むチャンスだからです。
「姫様役よりイケメン役でそういうお客さん呼び込もうって作戦じゃねえかな」
「てことは俺期待されてる?」
「是泰そう」
「じゃあめちゃくちゃ頑張らないとな」
源介と話しているうちは、ずっと憧れていた役ができる嬉しさで浮かれていた惣五郎ですが、ふと自宅でひとり我に返ると、そわそわし始めます。
(つまりいつも以上に俺の実力が試されるってことだよな?)
今までも上手くやらなきゃというプレッシャーはありました。でも少なくとも公演の中心には菊右衛門さんや先輩たちがいました。つまり、惣五郎は自分の心配だけをしていればよかったのです。
でも今度は重大な演目で、惣五郎自身が主役。惣五郎がいいものを演じられなかったら、その公演の評価が下がってしまうのです。
(えっ怖っ!これはちょっと今までのプレッシャーとはレベルが違う)
落ち着かない惣五郎は、まだ台本ももらっていない今の段階でもできることがないかと考え始めました。
(そうだ舞台のDVDを観て勉強する!)
惣五郎は、自宅の棚にあるはずの弁天娘のDVDを探しに行きました。
祖父達の秘蔵映像を発見!?
しかし棚にはそれらしきDVDが見当たりません。ちょうど通りがかった父親に聞いてみます。
「じいさんの舞台映像なら地下の書庫の方にあるんじゃないか?VHSが。ここ30年?はじいさんあの役やってないはずだから」
惣五郎が生まれる前に弁天娘を演じていた菊右衛門さん。DVDですらない時代のいわゆるビデオテープで残っているようです。
惣五郎はさっそく地下の書庫でVHSを見つけました。しかしVHSだからDVDに焼かないと見れません。
倉庫を見回って、菊右衛門さんの出演舞台の映像の多さに改めて驚く惣五郎。記録の数が段ボール何箱にもわたっています。
そこでふと、菊右衛門さんと寿一郎さんの共演舞台の映像が紛れていないかと探してみることにしました。
祖父たちの共演はざっと50年ほど前です。しかし1時間が経っても、惣五郎は書庫から2人の映像を探し出すことはできませんでした。
「やっぱないか!ずっとあんな感じだったじいちゃんが置いてるわけないよな」
惣五郎は菊右衛門さんに寿一郎さんの話をすると、途端に不機嫌になっていたのを思い出します。あきらめかけた時、1箱だけしっかりとテープで止めてある段ボールに気づきました。
中身のメモも年代も何も書いてないただの段ボール。惣五郎はまさかと思いながらも、一応開けてみました。すると…。
(この家紋、源介の家の大谷屋の手ぬぐいだ!)
さらにその下には古いVHSがぎっしりと詰まっていたのです。
花恋つらね50話 感想まとめ
お宝はっけーん!惣五郎よくやった!
書庫のすみっこにひっそりと何も書かれていない段ボール。普通ならスルーしてしまいがちですが、まさかという思いでようやく惣五郎が見つけました。
大谷屋の家紋入りの手ぬぐい入りだなんて、とっても意味深。手ぬぐいの下にずらりと並ぶビデオテープはおそらく菊右衛門さんと寿一郎さんの共演映像でしょう。
菊右衛門さん、きっと処分しようとしてもできなかったんじゃないかな。
寿一郎さんの手ぬぐいも捨てられず、だからといって人目に付かないように、段ボールに封をして書庫に眠らせておいたのでしょう。
今となっては遠い遠い思い出の映像。想い合う2人が共演した、貴重で希少な数少ない資料です。
観たらきっと今の惣五郎と源介なら、祖父達の関係に気づくのではないでしょうか。そこからはもうあまり菊右衛門さんに問いつめたりはしないでほしいな。
菊右衛門さんにとっては遠い記憶の中の昔話で、大切にしておきたい秘めたる恋だったのでしょうから…。
弁天小僧を源介なしで成功させなければいけない惣五郎のプレッシャーは相当なものがありそうです。
それだけ歌舞伎界の上の人たちの期待の現れで、さらにはひとりの役者として、売り時を逃さないのはとても大切なことです。
ドラマやCMで惣五郎を知った人に向けて、もう1歩踏み込んで歌舞伎の世界に巻き込む絶好のチャンスなのです。
立役と女形の両方の能力が必要になってくるだなんて、難易度が高そうですね。なによりも弁天小僧、普通に歌舞伎の舞台を観たくなってしまいました。
決め台詞とかかっこいい!戦隊ものの元になったとか、花恋つらねを読んでいるとどんどん歌舞伎の世界に興味が広がっていって勉強になります。
伝統芸能にさほど興味がなかったけれど、1度は生の舞台を観てみたいな。こんなご時世ですが、少しずつ公演なども再開しているので、いつかは!と思いました。
次回は1回お休みで次は1/14発売のディアプラス2月号です。
それではまた「花恋つらね」51話の感想でお会いしましょう。
追記)51話の感想を書きました。
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