編集者として多忙を極める木佐さんは、いくらお向かいになったとしても雪名と毎日会えるわけではありません。そんなある日、雪名が絵本の挿絵の仕事をゲットしました。
最初の稼ぎは木佐さんとの思い出に使いたいと言ってくれた雪名に甘え、温泉旅行に行った2人。宿泊中ずっと抱き合って愛を確かめるのでした。前回の復習はこちら。
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それでは以下「世界一初恋 木佐翔太の場合」11話の感想です。ネタバレにご注意ください。
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世界一初恋 木佐翔太の場合11話 感想 ネタバレあり
りっちゃんの卒業祝いを探る木佐さん
大学の卒業式も目前になり、最近どうもぼうっとして様子がおかしい雪名。就職が決まった同級生達の話題にも上の空です。
いっぽう木佐さんは、大学の卒業祝いについて、りっちゃんにさりげなく探りを入れていました。
「俺は両親から本と時計をもらいました」
「本!」
「父が好きな哲学書だったんですけどね。あとは幼馴染の子がご飯をごちそうしてくれましたね」
(メシ行って、何か物のプレゼントがやっぱ妥当だよな)
雪名の卒業式は来週です。でもその後すぐに大学院の入学式があるから、雪名の気分的にはたいしたイベントではないかもしれません。
しかし木佐さんは、いつも誕生日や旅行などサプライズプレゼントをしてくれる雪名にとって、卒業式が特別な1日になればいいと色々と考えていました。
最近元気がなくて様子がおかしい雪名
それとは別に、木佐さんには気になっていることもありました。最近どうにも雪名の様子がおかしいのです。
「オンライン配信卒業式?」
「そうなんすよ。うちの卒業式派手で有名で、毎年来場できない人たちから要望が多かったらしくて」
どうやら雪名の通う美大は卒業式が名物化しているようで、オンラインでも配信されることになったのでした。これで直接行けない木佐さんも卒業式を見ることができます。
「親御さんは来るの?」
「いえ、家族総出で来るつもりだったので阻止しました」
どこにいてもキラキラと光り輝いていそうな雪名の家族を想像する木佐さんw
雪名の学校は、卒業式で卒業生がコスプレをするという恒例行事もあり、その昔ふんどし1枚で出席した勇者もいたそうです。
花をわさわさ付けた服を雪名が事前に作っているところを、木佐さんもチラッと見ていました。
「もし写真とか撮ったら、見たいなーなんて」
「もちろんいっすよ。何ならここで着ましょうか?」
「いや!いい。こういうのは当日まで我慢しないともったいない」
木佐さんの力説に、雪名はいまひとつピンときていません。
「あーそれでさ、当日夜にどっかでメシでも食わね?と思って一応卒業祝いっつーか」
「うれしい!!」
満面の笑みで喜ぶ雪名ですが、夜は同級生たちと打ち上げの予定が入っています。そっちを断ろうとする雪名を、木佐さんは止めました。
「就職したら顔を合わせる機会も少なくなるだろ?俺はまだ予約もしてないから、そっちを優先しろ」
「すいません。お気遣い嬉しいです」
「けど卒業したと思ったらすぐ入学式ってお前も忙しいな」
「ほぼうちの学校からの持ち上がりだし、見知ったメンバーばっかであまり変わり映えしなくて」
「ほかの大学からのも入学してくるの?」
「はい、何人かいるはずです」
他大学からの入学生の話になると、とたんに沈んだ表情で言葉が少なくなる雪名。木佐さんが「どうした?」と聞いても、なんでもないとはぐらかしました。
何か俺に隠し事をしているような気がする…。
「そうだ。この間借りてた美大展のパンフ、忘れないうちに返しとくわ」
木佐さんは絵の専門的なことは分かりませんが、そのパンフの中で気になる絵があったと話題に出します。
「面白い絵を描くなあと思って。同じ油絵ってカテゴリでも人によって全然印象違うんだなーって。当たり前なんだけど」
雪名は最初うつむいていましたが、パッと顔をあげて口を開きます。
「ですよね!だから絵を描くのって楽しいんすよ!」
ずっと雪名に感じていた違和感を、木佐さんは今日もはっきり感じとりました。
(気のせいかもしれないけど、何か俺に隠し事をしているような気がする)
雪名を録画しそこねて悔しがる木佐さんw
そしてやってきた雪名の大学卒業式当日。木佐さんにとっては校了の最終局面という修羅場中の修羅場です。
忙しい時に限ってトラブルが起きるのが編集部。案の定千秋が原稿をギリギリのギリギリまで出せないという状態です。羽鳥が頭を抱えて謝るも、エメラルド編集部全員が瀕死状態w
ゆっくり食事などとっている余裕のない木佐さんは、どら焼きを咥えながら寝落ちしかけていますw
(このところマジで体力がもたん。さすがに俺も年か…)
目を覚ますべく、洗面台で頭から水を浴びる木佐さんは、今日が雪名の卒業式だとハッと気づきました。
慌ててスマホでオンライン配信を見ると、卒業式真っ只中。でも人数も多い式典なので、この中から雪名を見つけるのは難しそうです。
「続きまして卒業生答辞。卒業生を代表して、雪名皇」
配信画面いっぱいに映ったのは、髪に大きな花をつけたスーツ姿のキラッキラ王子様。何も聞いていなかった木佐さんは、檀上で光り輝く王子の姿に動揺してクラクラしてしまいます。
(雪名のやつ許せない。録画しそこねたじゃねーか!)
りっちゃんに見られた!けどセーフ
今からでも録画を!と慌てていると、ふと配信のコメント欄が目につきます。そこは雪名への好意的なコメントであふれかえっていました。
念のためにSNSもチェックしてみると、案の定王子様の出現が騒がれています。いいねやリツイートもどんどん増え続けています。
「木佐さん?」
木佐さんがひとりあわあわしているところで、りっちゃんに声をかけられました。木佐さんがなかなかデスクに戻ってこないから、倒れているかもしれないと思って探しに来たのです。
オンライン卒業式のスマホ画面も見られてしまい、りっちゃんは雪名を見てまりものバイトの子だと気づきました。
「昨日寄ったらたまたま会って、よかったら見てって言われたの思い出して!!」
「わあー相変わらずキラキラしてますねー」
「だね…」
校了修羅場中の2人には、雪名の天然キラキラは眩しすぎてつらいものがありました…w
酔った俺はきらいっすかー?
(おいおい、めちゃくちゃフォロワー増えてるな)
帰宅後に雪名のSNSを確認すると、お約束のようにフォロワーが増えていました。一般人の美大生とは思えぬ数字です。
これから雪名が活動していくなら、こうして認知度が上がるのは歓迎すべきことですが、木佐さんとしてはなんとなくそわそわしてしまうのでした。
駅まで雪名を迎えに行くと、盛大に酔っぱらった状態で笑顔で大喜びする雪名。
「お前めちゃくちゃ酔っぱらってるな」
「えー酔った俺はきらいっすかー?」
(好き)
かわいい顔でキラキラしている雪名の顔に一瞬見とれる木佐さんは理性を総動員して雪名を連れ帰ります。
こんなにも酔っぱらう雪名を見るのは木佐さんは初めてでした。
他人と比べて一人でぐるぐるしていた雪名
「最初は普通だったんすけどね。途中からもうヤケ酒みたいになっちゃって。なんというか、会いたくない奴に会ったというか」
「雪名、お前ちょっと前から何か様子変だぞ。悩みとか気になる事あるなら吐き出せよ。別にどんな小さいことでも笑ったりしないし」
木佐さんの真摯な言葉に、雪名はおもむろに話し出しました。
実は打ち上げの店に、木佐さんがパンフで気になった絵を描いた大学院に外部からくる学生がバイトをしていたのです。
「すげー絵を描くでしょ。会場であの絵を見たとき、これ俺が描きたかった絵だってその場から動けなくなったんスわ」
同じように描いてみても、それっぽくしたり模写してみたりしても、仕上がってみると彼の絵と全然違います。
これは画力やテクニックの問題ではなく彼自身の個性で、自分にはない個性なのだと雪名は思い知ったのでした。
彼はくったくなく雪名に声をかけてきてくれて、雪名の作品をほめてくれました。なのに雪名は嫉妬や焦りで一人ぐるぐるしていたのです。
「なんかすげーみっともないって思ってたら飲みすぎちゃって」
ダサいしカッコ悪いと慌てる雪名に、木佐さんはいったん落ち着かせようと水を飲ませます。
一番最初に俺に見せて。
雪名は自分では、絵の仕事もはじめて大学院にも上がれて、努力もしてすべて順調に進んでいると思っていました。
「でも全然自分の理想にたどり着けてないって現実を見せつけられて、今までの俺はできてたつもりの自分だったって気づいたら、もう恥ずかしくて」
こういうことは自分で乗り越えるしかないということも分かっていました。だから木佐さんには話さなかったのです。
「とりあえずさ、自分と向き合ってもう無理限界ってとこまで、まずはやってみろよ」
もがきながらも前に進もうとする雪名の姿をシンプルにいいなと思う木佐さん。
望むような未来に進めるのは、現実では限られた人間だけです。
それでも雪名ならできるんじゃないかと、望む以上の未来を掴むことができるんじゃないかと、木佐さんは雪名を信じているのでした。
「お前が理想とする絵を描き上げられたら、一番最初に俺に見せて」
「はい!分かりました!」
「つまずく事があったら俺に吐き出せよ。どんなに小さいことでも言ってくれたら、俺も信頼されてるんだなと思って嬉しいし」
木佐さんの温かい言葉に感動して元気を取り戻した雪名。卒業祝いも受け取って、感無量で木佐さんを抱きしめるのでした。
「俺、木佐さんを好きになってよかった」
要望に応じて咥えるエロエロな木佐さん
木佐さんのほうも、雪名を好きになってよかったと思っていました。恥ずかしくて口には出せないけれど、雪名と出会ってから毎日がキラキラし始めたのです。
(人を好きになるということが、こんなにもたくさんの感情にあふれているものだって、お前が俺に教えてくれたんだ)
ベッドに向かう2人。酔っぱらっているのに大丈夫なのかと、やる気満々の木佐さんは雪名に向かって軽口をたたきます。
「木佐さんが口でしてくれたら多分大丈夫」
挑発(?)に乗った木佐さんは、雪名の希望通りに咥えます。お互いにいつも以上に敏感になっていって興奮状態になり、木佐さんは年上の余裕でじらしてみたり。
だけど結局は雪名に主導権を握られて、限界まで気持ちよくなってしまうのでした。
あー好きだなあ…。
(主導権とったつもりでいつの間にか奪われてた。結局何回ヤッたんだこれ…)
スヤスヤと眠る雪名の横で、やりまくった自分たちに呆れる木佐さん。寝顔の雪名はまだまだ幼く見えます。
(かわいいのも美しいのも綺麗なのもかっこいいのも全部雪名で。あー好きだなあ…)
しみじみと雪名への愛を感じる木佐さんなのでした。
明けて翌日。雪名は友達から送られてきた卒業式の写真と動画を見せてくれました。
欲しかった映像を見て大パニックな木佐さんの絶叫が響き渡ります。
「データを!よければ俺にも頂けると嬉しいです!!」
快く了解するも、なぜ木佐さんがこんなにも浮足立っているのかまったく分からない雪名なのでした。
世界一初恋 木佐翔太の場合11話 感想まとめ
オンライン配信される卒業式、って一瞬今流行りのウイルスの影響で?と思いましたが、そうではなく、たくさんの要望に学校が応えたという形なんですね。
卒業生のコスプレが名物になっているのだから、きっとマスコミの取材とかも豊富でしょう。
SNSでも雪名の美貌が話題になっているし、絵本の宣伝にもなるかもしれませんよね。もちろん雪名の油絵のPRにもなりそうです。
今回は雪名が美大生で、クリエイティブにつきものの悩みに、木佐さんがうまく励ましてくれた形になりました。こういうところが年上で、頼りになるところでもあります。
悩みは大小を問わずこまめに吐き出して、溜め込まないことが大切です。木佐さんは社会人の先輩として、そのことを体感しているのでしょう。
そうやってストレスを解消することが、創作においてはとても重要なことだと、木佐さん自身もマンガ編集として働く中で気づいていったのかもしれません。
この2人ってもうお互い以外にフラフラすることもないし、カップルとして人として成長を見守っていけるのが嬉しいです。
お互いに支え合って生きるという覚悟が出来上がっていく過程を見せてもらっているうようで、なんだか感動してしまいます。
どちらかがピンチになったら、どちらかが自然と支える。こじれる前に話し合ってぶつかり合う。理想的な関係だと思います。
今回は雪名の顔がちょっと幼く若返ったような感じなのも新鮮でした。木佐さんは相変わらず童顔30代ですw
心の声がダダ洩れがちな木佐さんにはどうしても毎回笑ってしまいますね。
雪名の「酔った俺はきらい?」に光の速さで(好き)とか思っちゃってるしwよく口に出して言わなかったね、偉い!
でも卒業式のキラキラコスプレ雪名のデータは欲しいよね。いろいろと使い道はあるもんね。(やめなさい)
次回は2022年8月末発売のエメラルド夏の号です。
それではまた次回「世界一初恋」小野寺律の場合35話でお会いしましょう。
追記)木佐翔太の場合12話の感想を書きました。
世界一初恋18巻 木佐翔太の場合12話 ネタバレ感想
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世界一初恋 ネタバレ感想 中村春菊
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