花恋つらね55話&56話の感想です。ネタバレになるのでお気をつけください。

自ら決めたルールに従って密かに交際を続ける惣五郎と源介。お互い芸にまい進する日々ですが、ある日惣五郎に大役・弁天小僧が舞い込んできます。

女性と男性両方を演じなければいけない難しい役に、惣五郎は稽古中ずっとダメ出しを受続けます。追い詰められた惣五郎蔦丸に教えを乞いに行きますが…。前回の復習はこちら。

花恋つらね9巻54話 ネタバレ感想

それでは以下「花恋つらね」55話&56話のネタバレ感想です。

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花恋つらね55話 感想 ネタバレあり


開き直ってヤケクソでやった蔦丸弁天


マイナスのところから自分なりの弁天を作っていったと言う蔦丸の言葉に驚く惣五郎。蔦丸は、自分も最初はかっこいい弁天になりたかったと口を開きます。

「でもいくら勉強してもお稽古しても、どうやってもダメ出しされて、女っぽさが抜けないって」

「まさに今それです」

蔦丸が弁天を演じた時も、今の惣五郎と同じ状態だったのでした。惣五郎も蔦丸も女形が多いため、自然と立役が出てこないのは当然のことです。

「注意されたことを気を付けてやってみても違うって言われて」

「わかるよ。あたしは昔立役もけっこうやらせていただいてたけど、まあ苦手で…。それで真女形を目指そうって一大決心したのさ」

真女形とは、女の役だけを演じる役者のこと。

「そんな後によりにもよって小難しい弁天の役だよ。そりゃ苦労すんだろ!ってだんだん配役を決めた人たちに腹が立ってきて」

「え?」

「だから開き直ってヤケクソでやったんだ」

蔦丸は、どう取り繕ってもへたくそだと言われるのならもう好きなようにやる!世間の評判など知るか!という気持ちで弁天に臨んだのでした。

開き直って覚悟をしたからだ。


「でも不思議なことに、その開き直りで腹の座った弁天に少し近づけたのか、舞台での芝居はまあ悪くなかったなんて言われたんだよ。わかんないもんだよね」

惣五郎は蔦丸に相談後、ひとり源介の部屋に寝転がってさっきの話を思い出します。

(蔦丸さん、女形を目指す前って立役やってたんだ。そりゃそうか、大谷屋の長男だもんな。そこから女形に転身したんだ…)

忘れがちですが、蔦丸は源介の兄であるだけでなく、歌舞伎界の名門・天下の大谷屋の長男なのです。

再び蔦丸の弁天小僧の映像を見つめる惣五郎。

(確かにほかの人と比べると、男の正体をばらすときの激変ぶりはないかもしれない)

(けどおれの目にはちゃんと、何事にも動じない恐れ知らずのかっこいい弁天に見える)

(それはきっと蔦丸さんが今の自分を見せるしかないって、開き直って覚悟をしたからだ)

そこが蔦丸が子供の時から苦労した弁天と重なったのでしょう。弁天は17という若さでも、勝負に負けたら「殺せ!」と言うような潔さのある男なのです。

自分に足りないものに気づいた惣五郎


「話、終わったんだ。どうだった?なんかヒントもらえたか?」

お風呂から上がった源介が戻ってきました。考えを整理している惣五郎は、どことなく上の空です。

お風呂でひとり考え続ける惣五郎は、自分に足りないものに気づきます。

(今のおれに足りないのは男らしさや女らしさではなく、たぶん覚悟だ)

惣五郎は今まで周りが自分にどんな姿を求めているのか、どうすれば褒めてもらえるのかばかり考えていました。

(弁天はそんなこと考えない)

弁天というキャラは、その身ひとつで戦って、やるべきことをやって死にました。守られた環境で育った惣五郎とはまったく違った人生を歩んできたのです。

虚勢であっても胸を張れ。


明けて翌日、本番直前のお稽古が始まります。そこでも、惣五郎はいろんなことを考えていました。

(もしいつか、おれと源介の関係をみんなに知られたら、俺に味方はいなくなる。これまでとは違う目で見られる)

(怖いな。その時おれはどうする?役者を捨てる?源介を捨てる?それはどっちも絶対にしたくない。だったら…)

(ビビるな。虚勢であっても胸を張れ。おれは自分が納得できる生き方をして、いつか菊右衛門にだってなってやるんだと、堂々としてろ)

そうでないと周りを納得させえることなんて到底できません。

稽古中、これまでとは違い鬼気迫る表情を見せた惣五郎に、菊右衛門も納得の言葉をくれました。

「本番が始まっても、この調子で精進しなさい」

本番当日、緊張している惣五郎は震える手で地方巡業で九州にいる源介に電話をかけます。案の定くさいセリフで励ましてくれた源介に、惣五郎はパワーをもらいました。

そして舞台が始まります。

花恋つらね56話 感想 ネタバレあり


主役がビビッてちゃみんな安心できないだろ


開園直前になり、舞台袖で深呼吸する惣五郎。思ったよりも落ち着いている惣五郎に、武市は驚いていました。

「意外と落ち着いてんな」

「主役がビビッてちゃみんな安心できないだろ」

まっすぐに舞台を見据える惣五郎に、武市は目を見張るのでした。そして新秋大歌舞伎「弁天娘女漢白浪」の初日が幕を開けます。

地方巡業中の源介は、惣五郎の舞台が終わったころにSNSでエゴサをしていました。自分のではなく惣五郎の名前でのエゴサですw

SNS上では「今回の惣様やばい」「惣五郎の弁天が想像以上によかった」「武市との掛け合いがばっちりで気持ちよかった」「あんな男っぽい役もこなせるようになったんだ」などと評判は上々。

巡業中同室の蔦丸に呆れられながらも、源介は惣五郎のエゴサをして惣五郎オタクを極めていました。

「そんなに良いならおれは絶対に観ておくべきだろ!?めちゃくちゃ観たい」

巡業で地方を回るから、東京の惣五郎の舞台には行けません。源介はそれが歯がゆくて頭を抱えているのでした。

(あたしも菊右衛門先生の舞台を観れなくてギリギリしたこと何回もあるけど、この子惣五郎さんの彼氏というかほぼマニアだね)

蔦丸は惣五郎が相談に来たときに「おれがいまちゃんと舞台を務められなかったら、それこそおれたちの先はなくなるから」と必死だったことを思い出します。

惣五んとこ行くの、止めないんだ。


「無理すれば観れるんじゃない?」

巡業の日程と惣五郎の公演日程を見比べながら、あっさりと提案してくる蔦丸。源介は、まさかそんな勝手なことをしてもいいのかと驚きます。

「弾丸で東京戻るってこと?そんな単独行動していいの?」

「別にいいだろ、半日くらい」

「惣五んとこ行くの、止めないんだ」

蔦丸さんは、思わぬ形で弟の恋を応援(?)するよう流れになったことに、一瞬言葉を失います。しかし取り繕うように口を開きました。

「直前までダメダメだった子が、なんで急にうまいこと役をこなせてるのか気になるだろ」

そんな蔦丸を一緒に行かないかと源介は誘います。もちろん蔦丸には「菊右衛門の芝居を観られるよ」という甘い誘惑です。

惣五郎の弁天小僧に息をのむ源介&蔦丸


うまい具合に源介に乗せられた蔦丸は、源介と一緒に弾丸で東京に戻りました。会場では関係者席に入れてもらいます。

惣五郎の前に菊右衛門の舞台を観た蔦丸は、感動のあまり涙していました。源介は、そんな菊右衛門オタクの兄を横で若干呆れながら見つめています。

その後始まった惣五郎の弁天小僧。久しぶりに見る舞台の惣五郎に、源介は先ほどの蔦丸のように感動していました。似た者兄弟w

そして舞台の見せ場、弁天小僧が女ではなく男だと明かすその一瞬。

鬼気迫る惣五郎の表情に、源介も蔦丸も息をのむしかありませんでした。

花恋つらね55話56話 感想まとめ


自分が納得できる生き方をして、胸を張って堂々と生きると惣五郎が覚悟した瞬間、本当の意味で弁天小僧の役を掴めたのだと感動してしまいました。

惣五郎と源介の関係が明るみになったとて、あたふたおどおどウジウジしているようなら、それまでの人間だとして歌舞伎界やファンからも見放されてしまうかもしれません。

ばれてもばれなくても、惣五郎が自分の人生の選択を信じて堂々と生きていれば、決して敵ばかりではなくなるのではないでしょうか。

そして今回ナイスアシストをしてくれた蔦丸さん。

なんだかんだ、惣五郎の弁天の役作りの相談に乗ってくれたり、今回の源介の背中を押してくれたり、根はとても善い人であることが見え隠れするのがなんとも素敵です。ありがとう、蔦丸さん。

今回の惣五郎演じる弁天を見たら、その覚悟を感じとったなら、もしかしたら蔦丸さんの中で惣五郎と源介を黙認する方向で気持ちが整っていくんじゃないかなーと期待してみたり。

武市兄も、本番直前に惣五郎が見せた堂々たる主演の顔を見て、なにか感じるところがあったようです。

こうやって少しずつ少しずつ、まずは2人の関係を知っている人からだんだんまわりの人に役者として認めさせていくことが、目下の惣五郎と源介のできることですよね。

お互いに舞台の上でしか、その仕事ぶりでしか、周囲を納得させることはできません。

たとえ2人の関係がバレて騒ぎになったとて、当の本人達が堂々として、やるべきことをやって粛々と懸命に生きていれば、おのずと周りの目も変わってくるものだと信じたいです。

後継ぎ問題について、歌舞伎界のことは詳しくは分からないのですが、例えば養子を迎えるとかそういうことはNGなんですかね?

たとえ結婚して子供が生まれても、子供が女の子ばかりということだってあるわけじゃないですか。その場合、後継者として養子を迎えるみたいなことって異例なのかな。

男女どちらも恋人だったことがある蔦丸さんが、最後に選ぶ相手が女性で結婚するとして、もし男の子が生まれたらその子を大谷屋の跡取りにとか…。

やはり立役で寿一郎の名を継ぐ源介の息子でないとダメという感じなのかな。伝統芸能の世界は、一般社会とは違うルールもあるでしょうし、そのあたりはよく分からないですね。

あと、今回蔦丸さんの菊右衛門オタクっぷりと、源介の惣五郎オタクっぷりを見て、改めてこの兄弟のDNAを感じましたwお互いに好きな人には徹底して一直線!という感じが血筋だわー。

どうやら大成功に終わりそうな惣五郎の弁天小僧。惣五郎の舞台での覚悟を実際に目にした蔦丸、そして源介の反応がとても気になります。

前月の感想を書きそびれて2話連続で書いてみましたが、こんっっなに長いド素人のまとまりのない感想文を、最後まで読んでくれてありがとうございます。

次回は9/14発売のディアプラス10月号です。

それではまた「花恋つらね」57話の感想でお会いしましょう。

追記)57話の感想を書きました。

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