緒川千世先生の「カーストヘヴン」ネタバレ感想です。

読む前は「スクールカースト」の話と聞いて病み系の暗い話なんだろうなあと思っていましたが、ただただ暗くて重くて痛くて病んでるだけというお話ではありませんでした。

確かにゲスいし酷いしドロドロしているんですが思った以上にストーリーに入って行けたので、ぐいぐい読んでしまいました。

眉をひそめながらもページをめくる手がとまらない。さすが緒川千世先生です。

悪いやつが一人も出てこないようなピュアピュアBLも心が洗われるようでいいですが、時にはこういう悪いやつばっかりの中で腹の内を探りつつ下剋上していくBLもいいですね。

「梓編」と「あつむ編」の2人のカップルのお話が前半と後半に分かれています。時系列が同じなのもまた面白い。

同時進行で別視点からの話を見るとまた違った景色が見えてきます。これはどんな人間関係も同じですね。学校でも職場でも。

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カーストヘヴン 1

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カーストヘヴン 感想 ネタバレあり


トランプで決まるカーストゲーム


カーストゲームによって学校内の力関係が決まってしまうという設定での学校生活。

カーストゲームとはトランプで見つけたカードが大きい人がカーストの上位層になれるという明確な基準があり、キングがトップでジョーカーが最下層というルールです。

いわゆる一般的なスクールカーストでは暗黙の了解でカーストが決まっていることがほとんどですが、トランプという単純明快な分かりやすさが特徴的です。

もちろん教師には秘密ですが、といいつつ校内放送とか使ってますが大丈夫?というつっこみは野暮ですね。

前半:梓編


ずっとキングとして君臨し傲慢だった梓は、突然自分の取り巻きだった刈野に裏切られて最下層になってしまいます。

ある日を境に転落する生活。180度違う立場に陥れられてしまう梓。キングとなった刈野は手のひらを返したような態度で梓に接します。

強引にヤった上、クラス皆にヤられるか俺にヤられるかを選ばせるなど容赦ない刈野。腹黒さはピカイチです。

そんな刈野のオンナになる方を選ぶ梓ですが、プライドは高く、身体の関係は持っても決して屈しません。あくまでも鼻っ柱は強いまま。

ヤられるほうにまわっても強気な態度を崩しません。しかし身体はトロトロに溶かされていって、ついにはおねだりまでしてしまいます。

典型的な女王様ツンデレ受けのようですが、刈野も梓も気持ちは見えないまま。

刈野のほうはその鬼畜っぷりから梓に対しての執着や独占欲は見え隠れしますが、それが愛情によるものなのかはまだまったく不明です。

梓があきらめてしまっていたり泣いてばかりで立ち向かわない受けではないというのはポイントが高いですね。

育った環境ゆえの反骨心も強い梓が2巻以降でどう出てくるのか、そしてそれを狩野はどう対応するのか。楽しみです。

後半:あつむ編


前半のカップルの鬼畜さや強烈さに後半はこれを上回るゲスいカップルかと覚悟していたら、まさかのあつむ(受)がいい子設定。

前半の梓とは正反対の性格があまりに対照的でくらくらしてしまいました。こういうの嫌いじゃないです。

気弱でいつもおどおどビクビクしている日下部あつむ。こちらはこれまで最下層にいた子ですがある時上位層に。あつむの目には王子様のように映っている久世はこの巻ではあつむにとても優しい男です。

だけど冷たく見える目の奥には何かが潜んでいそうで、まっっっったくもって油断できなさそうな久世。まだ本性を見せていないだけに不気味です。

あつむは可愛くていい子なので傷つけられるのを見るのは忍びないですが、久世は絶対になにかある・・・と思わせるような匂いがぷんぷんしています。

あつむ逃げてええ!

でも久世がいったいどんなことを考えていてどう変化するのか、まさかこのままということはないと思うのでやっかいそうな久世の言動には目が離せそうにありません。

こちらのカップルはまだエロはなし。次巻が勝負の別れ目という感じでしょうか。久世の裏が早く明らかになってほしいようなほしくないような。

人の醜さとか暗さとか痛みとかばっかりで、ただただ病んでヤッてるだけのBLだったらどうしようと思っていましたが、そこは緒川千世先生です。

結果、読んで良かったです。

感想まとめ


後味の悪さがさほどなかったのは絵柄がきれいであることと、まだ全貌が明らかになっていない上に、そこはかとなく刈野や久世に愛情を感じるからかもしれません。いやそうであってほしいという願望です。

人という生き物の悪意だとか醜さを見せつけられつつ緊張感のある展開に、力のある作家さんだなと改めて思いました。

無自覚だからなのかそれとも2巻以降で少しずつ感情に焦点があたるためあえて伏せてあるのか。攻め2人の気持ちが見えてこないことで余計に続きが気になります。

キャラの気持ちが明確に言語化されていないぶん、続刊ではそのあたりの変化にも注目したいです。

やっぱりBLはストーリーとエロのバランスが大事なんだなと再確認しました。ただただヤってるだけのBLは確実に飽きられちゃいますしね。

あとがきによるとハッピーエンドを考えているということなので、どんなに悪意に満ちてゲスくてもそこへ行きつくまでの過程を楽しむ作品ということでしょう。

どちらのカップルもその後が気になりますが、どんな終焉を迎えるのか予測のつかない展開をハラハラしながら固唾を飲んで見守りたいと思います。

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誤算のハート

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