春風のエトランゼ(紀伊カンナ)ネタバレ感想です。

昨年末の「このBLがやばい2015」で堂々20位だった「海辺のエトランゼ」の続編です。海辺のエトランゼは紀伊カンナ先生のデビューコミックス。それがいきなり「このBLがやばい」20位にはいってくるとか、すごいですね。

このBLがやばい!2015年度版 ネタバレ感想

人気だったから続編が出たわけで、しかも春風のほうは1巻なのでこの先も続くという嬉しさ。紀伊カンナ先生はアニメーター出身なので、画力はもう文句なしです。

すべてのシーンの書き込みに妥協がないというか、繊細で丁寧で優しくて、私はすごく好きです。ジブリのほのぼの路線をコミックスにしました、という感じの生活感とファミリー感あふれる絵柄に雰囲気。

海も空も草木も家も人も動物も、ぜんぶがどこか懐かしいような愛にあふれた感じで、この絵なら絵本の挿絵とかも向いてるんじゃないかな。人はショタっぽいので、先生の別作品でぜひ中高生の同級生BLとかを読んでみたいです。

なあ実央 一緒にきてくれて、あんがとな。


天涯孤独なフリーター×ゲイの小説家


母親を亡くして天涯孤独な実央(攻)と、幼馴染との結婚式をドタキャンして実家と絶縁し離島で暮らすゲイで小説家の卵の駿(受)。

前作では沖縄の離島で2人が出会い、晴れて恋人同士となりました。

北海道の実家とは絶縁状態の駿でしたが、父親が病気と聞いて今作では恋人の実央と一緒に実家に向かうところからスタートします。


「まっなるよーになるか」


実央にしてみれば、初めての飛行機で恋人との旅行にして駿の実家訪問ということでハードルが上がりそうですが、そこは若さや性格が手伝ってかどこか能天気。

なるようになるかとカラッと言っちゃえる実央の明るさが、実家とは気まずい状態の駿を救ったことでしょう。駿が絶縁して久々に会う父親との対面でカチコチだったのを、ビンタで気合を入れて後押ししたのも実央でした。

駿の家族は真面目な父に優しい母、7歳の弟に犬や猫たちですが、実央は意外と駿の家族になじんでいきます。

実央にとっては失ってしまった温かい家庭。母のことを思い出し、そしていなかった父親という存在を感じることができること、一家団欒を純粋に喜ぶ実央。

それに対して時折はさまれる、ゲイだということで人に受け入れられなかった駿の過去は切なくて苦しい気持ちにさせられます。

ひねくれた性格の駿ですが過去のつらい経験が影を落として、この性格形成に至ったということなのでしょう。


駿父に見られた!?


駿の元婚約者も出てきたりしますが、駿の父親に家の離れを使ってもいいと許可をもらった駿と実央。2人はしばらく北海道で暮らすことになります。

お父さんは駿に対してまだ複雑そうではありますが、自分の息子が帰って来たという嬉しさだってもちろんあるわけです。

実央の明るく朗らかな性格も手伝って実央の誕生日を一緒に祝ったりと、駿の家族ともいい感じだったのですが…そんな中、まさかの!

離れで2人がアレな雰囲気になり、駿が実央にお口でご奉仕しているところを、あろうことか駿の父親?に見られたかも!?ひー!

という超絶気になるところでお話は終わっています。真面目な駿のお父さん、これはどう出るか。


「こんな小さい部屋ん中に2人でいるだけで、すげー興奮する」


ファミリー向けほのぼの絵柄ですが、前作「海辺のエトランゼ」も今作もちゃんとエロがあります。Hの時の受け攻めポジションを争う場合ってだいたいは攻めを取り合うケースが多いですが、実央と駿にいたっては逆。

前作では2人とも慣れないことにびびって、つっこまれる方いえ言葉が悪いですね、受ける方をやりたがるというミラクルw

海辺のほうを初読みしたときも途中までどっちが攻めか微妙だなと思っていましたが、受け役のとりあいをするというもだもだっぷり。ここでも百合っぽいというか、ショタっぽい雰囲気がかわいいです。


おまけ:しとしとエトランゼ


おまけ漫画がまた秀逸でした。

よくある風邪をひいて看病するというお話なんですが、駿の料理がダメダメで、カンナ先生は動物も手抜きなしなのですが、猫までが吐き出す味という。

おにぎりって美味しくないように作るほうが難しい気がしますが、駿が愛情をこめすぎたということで。かわいいおまけでした。


エトランゼの意味


「エトランゼ」とは、フランス語で「見知らぬ人・外国からの旅行者」の意味です。

駿にとっては実央が、また実央にとっては駿が、沖縄の離島で出会った見知らぬ人であり、同時に1歩外へと連れ出してくれる旅人だったのかもしれません。

海辺のエトランゼは2014年7月25日発売。春風のエトランゼは2015年7月25日発売。夏にぴったりな雰囲気の、やさしい絵柄の切なくてかわいいボーイズラブ。2巻はまた1年後でしょうか。早く読みたいです。

サンプル漫画を読んで、絵や雰囲気がダメでなければ大丈夫。BL初心者の人にも、読みやすい絵柄にストーリーなので前作と併せてオススメです。






前作はこちら。

海辺のエトランゼ

海辺のエトランゼ

海辺のエトランゼ




紀伊カンナ先生のその他BL漫画。

雪の下のクオリア

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紀伊カンナ先生のマンガ一覧

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