24話は大きく進展しました!黒瀬くんと城谷さんも密室でからみました。変な意味ではなくw城谷さんが1歩も2歩も前進して感無量です。
黒瀬くんの腹黒さも見えたと深読みしていますが、みなさんどう思われたでしょう。おそらくこの24話までが10月30日発売の4巻に収録されるのかなと思っています。
城谷さんの問題にひとつの区切りができたので、ちょうどここまでなら納まりがいいのかなと。
前回の23話では、城谷さんが黒瀬家を飛び出してから2か月間音沙汰なく過ぎ、おつかいで出かけた先で2人がばったり会い、停電でエレベーターに閉じ込められるというところまででした。
参考までこれまでの感想もどうぞ。テンカウント1巻から3巻の感想です。
テンカウント1巻2巻 ネタバレ感想
テンカウント3巻 ネタバレ感想
3巻の続きのネタバレ感想はこちら。相変わらず長い感想なので、お時間のある時にでもよろしければ。
テンカウント19話 ネタバレ感想
テンカウント20話 ネタバレ感想
テンカウント20.5 番外編ショート2本 ネタバレ感想
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テンカウント22話 ネタバレ感想
テンカウント23話 ネタバレ感想
テンカウント24話 ネタバレ感想←今ここ
テンカウント25話 ネタバレ感想
以下、ディアプラス2015年10月号のテンカウント24話の感想です。ネタバレしているのでお気をつけください。先に言っておきますが、いつものごとく長文の感想となっています。
【テンカウント24話 ネタバレ感想】
なんだこのリア充表紙
アマゾンで表紙が出た時に、びびって二度見してしまうレベル。なんだこの内緒話ラブラブカポーw
城谷さんと黒瀬くんの表情が幸せそうすぎて、逆に怖くなってくるというミラクル。本編は超シリアス展開だったのに、ここへきてこの表紙。ということは、24話は期待してもいいのか?とワクワク感ハンパないです。
が、宝井理人先生はSっ気があるから(勝手な解釈)、表紙で上げておいて本編で「残念でしたー」とかやっちゃう人だったらどうしようと、ちょっと宝井先生を疑った私がばかでした。
ごめんなさいってば。
本編、いい感じに進展しました!いやっほぅい。
黒瀬くんソロの扉絵
中扉は黒瀬くんの1ショットです。ガードレールにもたれて傘をさしながら誰かを待っているようです。
煽りが「雨がやんだら、きっと」
明けない夜はないのと同じで、やまない雨もない。大雨が小雨になり、やがて雨がやみ暖かな光に包まれる瞬間がやってくる。黒瀬くんと城谷さんの間にも。
って解釈でOK?
表紙が穏やかだったので全てが明るく見えてくる私の脳みそがやばい。でもそうであってほしい。そろそろ城谷さんが前進する時です。そうですよ。
いつまでも本心と向き合わずにいるなんて、この黒瀬くんを前にしたらできないはず。だって黒瀬くんは策士だから。(褒めてます)
ナイスエレベーター
雷の影響で停電し、とまってしまったエレベーター。非常灯の薄明りの下で、黒瀬くんが緊急時のコールで状況を説明します。
こういう時にさっと冷静に動ける黒瀬くん、さすが。ていうかいつ見ても、本当に惚れ惚れするくらいイケメンですね。しつこく言ってますが正面顔が特にかっこいい。
なんていうか端正な顔立ちのイケメンで眼福。
どうやら停電が復旧してもエレベーターが動くまでには時間がかかる様子です。よしよしいいぞエレベーター。良い判断だ。2人に動きがあるまで大人しくしててよエレベーター。頼むよ。
息が上がってくる城谷さん
雨でスーツもびしょ濡れの城谷さんにとっては苦痛の狭い密封空間に、これまた2か月間音沙汰なしだった黒瀬くんと2人きりという、何重にもわたる苦難の時間がふりかかります。
20分もの間、閉じ込められたまま会話もない2人。城谷さんの方はだんだんと息苦しくなっていきシャツの首元を緩めます。
なんとか気力で自分を律して立っていたのでしょうが、激しい雨音と雷に、あのいまいましい記憶、かくれんぼと称して父親の情事を見せつけられた、あの時のことを思い出してしまいます。
いっそうつらくなっていく城谷さん。顔面蒼白で汗をかいています。
ハアハアと息が上がってきて、とてもつらそうな城谷さんを見かねたのか、医療従事者としてなのか、ここまで20分間沈黙を守ってきた黒瀬くんが、とうとう声をかけます。
「大丈夫ですか?城谷さん」
やっぱり気づいていた黒瀬くん
城谷さんに当然気づいていた黒瀬くん。見て見ぬフリに限界がきたのか、城谷さんを気遣う言葉をかけます。
ここでもうちょっと我慢していれば、城谷さんの方からすがりついてきたかもしれないのに。そのへんは黒瀬くんも惚れた弱みなのか、脇が甘いなあフフフ・・・
とか思ってたほくそ笑んでいた私がバカでした。
黒瀬くんはこの後、城谷さんに仕掛けてきます。そう、狙い澄ました獲物を確実にしとめて狩る野生動物のように。
じわりじわりとこの状況を利用して、黒瀬くんは城谷さんを狩りの戦場に引きずり上げます。それはもう見事なまでに、城谷さんが目を背けてきた舞台に立たせることに成功するのです。
黒瀬くん、ほんと末恐ろしい26歳だよ。あっぱれ。
ついに動いた城谷さん
このキツい状況において、気を紛らわせるために世間話しようと考えた城谷さんは、黒瀬くんと必死に普通の会話をしようとがんばります。
そんな城谷さんの思考を知ってか知らずか、ここにいた理由を淡々と説明する黒瀬くん。どうやら先日から、この雑居ビルの分院でも働くことになったようです。
大きく鳴り響く雷に怯える城谷さんを気配で察知している黒瀬くんは、城谷さんに背を向けたまま表情は見えません。「雷が苦手なんですか?」問う黒瀬くんに「そういうわけではない」と一瞬強がる城谷さん。
ですがあのかくれんぼと同じような状況において思い出す、過去のいまいましい記憶に膝が震え、もろくもその強がりは崩れ去ってしまいます。
涙目で黒瀬くんに告げる城谷さん。
「手を握ってもいいですか」
はねつけた黒瀬くんキタコレ
そして黒瀬くんの即答。
「駄目です」
拒否!ここへきてまさかの拒絶です。
多くの著者は、ここで黒瀬くんが城谷さんの手をとって和解という展開にもっていきたくなるはず。なのにやってくれました、宝井先生。やってくれると心のどこかで信じてました、私。
あの黒瀬くんがそんな甘く中途半端な和解でこの場を収めるはずがない。この偶然の事故を利用して、城谷さんとの関係を修復せざるを得ない方向に、巧みにもっていくに違いない。
黒瀬劇場のはじまりか
「手を握ってもいいですか」の次にページをめくって即「駄目です」という黒瀬くんの拒絶。拒否。否定。
重ねて「前に俺のこと気持ち悪いって言ったじゃないですか。余計に具合悪くなりますよ」と、あたかも城谷さんを気遣った体を装った拒絶です。相手のためを思ってと見せかける、一見親切にも思える拒絶。
黒瀬くんの計画の始まりです。なによりも巧みな拒絶で、黒瀬劇場のスタート。いえ、20分もの沈黙を黒瀬くんから破ったところから、もうすでに黒瀬劇場ははじまっていたのかもしれません。
そう、つまり、ここで黒瀬くんは仕掛けたんです。「あなたを守るために拒否します」という言外のメッセージを城谷さんに送って。
まったく知らない赤の他人なら、城谷さんは口が裂けても「手を握って」とは頼まなかったはずです。「理想の人」とまで言い放ち、あんなことやこんなんことまで許してきた黒瀬くんだからこそ、頼ってきた。
そこを、黒瀬くんは利用したのです。
決定打は城谷さんに
城谷さんは、きっかけさえうまく与えれば彼の意思で自分の腕の中に戻ってくるという確信めいたものが、黒瀬くんの胸中にはあった。しかしその決定打は、城谷さんに打たせたい。
もう黒瀬くんから歩み寄るのではない、城谷さんが自分の意思でもって、黒瀬くんを必要として選ぶ。そういう状況に、黒瀬くんはもっていきたかった。
言いよどむ城谷さんに、前にもこんなことがありましたね、と言葉を重ねる黒瀬くん。電車で気分が悪くなった城谷さんをお姫様抱っこしたあの件を指して言います。
話しながらも、昔のことが頭をよぎってどんどん具合が悪くなっていく城谷さん。いわば極限状態で立っています。
俺以外を拒否してほしい
黒瀬くんのほうは、いつもの綺麗なポーカーフェイスのまま、いやむしろどこか薄暗さを宿した冷たくも見える表情で、淡々と告げます。
「床に膝をつくのと俺の手を取るの「どっちがマシか」じゃなくて、今度は「俺以外は嫌だ」と言ってください」
「俺だけを欲して」に飽き足らず、「俺以外は拒否してください」とのたまう黒瀬くん。独占欲とかわがままとか、そういう可愛げのある言葉では到底説明がつかないような、執着と支配に捕らわれたような発言。
依存する城谷さんを求めてやまない黒瀬くんは、城谷さんに自分以外を認めてほしくないという欲望にかられている。これは、普通の人間関係を築く上ではとても不自然です。
黒瀬くんの歪みなのか
複数の他者との関わりの中で折り合いをつけながら、時にはぶつかって時には分かり合って、すりあわせながら築いていくのがいわゆる自然な人間関係です。
決して自分との関係のみに終始し、2人だけの関係に誰かを閉ざしておくことが、人と人の自然な関係性とは言えません。
物理的ではなく、精神的にも2人だけの世界を望んでいるような黒瀬くんの言葉。ここが黒瀬くんの歪みなのか、見えない何かで人を縛りつけるような危険な発想のようにも思えます。
過去の記憶に息も絶え絶えな状態の城谷さんには、その異常性のようなものに気づく余裕などないでしょう。
黒瀬くんの思うがままに選択せざるを得ないような状況を作られてしまい、文字通り密室で囲い込まれ、追い込まれた城谷さんに、黒瀬くんは手を差し出します。
「手にキスしてください」
「そうしたら何があっても支えてあげますよ。城谷さんが口先だけで何をいっても、ずっと」
黒瀬くんの仕掛け
服従の証のように、手の甲へのキスを要求する黒瀬くん。自分だからこそ城谷さんがこうして頼ってきたことを踏まえての、黒瀬くんの計算された言動。
それを、城谷さんはとうてい拒否できません。
先ほど私は黒瀬くんが仕掛けたと書きましたが、黒瀬くんの仕掛けは、こうやって城谷さんが選ばざるを得ないような状況を作って、冷静ではいられない状態において、自らの意思で選択し決定したという証拠がほしいがための仕掛けに他ならなかった。
頼ってきた手を簡単にとることはせず、「あなたのためを思って拒絶した」という体でいったんは拒否し、その後「あなたが俺を欲して選んだ」という証拠を作りたかった黒瀬くん。
密室でフラフラの状態で、すがる人が目の前に1人しかいない逃げ場のない状況を作り出され、その仕掛けにまんまと乗ってしまう城谷さん。
楽になれた城谷さん
無表情に冷たくも見えるような瞳の黒瀬くんに、城谷さんは、強要されているわけでもないのに自分が完全に支配されているような感覚に陥ります。
触れずとも、自分の気持ち悪くて醜い部分をすべて黒瀬くんに見透かされていると思う城谷さん。震えながら黒瀬くんの手に唇を近づけ、自ら手の甲にキス。
触れてしまえば、自分のことをもっと黒瀬くんに見られてしまう。伝わってしまう。だけど城谷さんはそうなることを自らの意思で決めて選びました。
シナリオ通りだったとしても
城谷さんが潔癖症として抑圧してきた本心を、黒瀬くんは暴いて認めさせました。それも力技ではなく自然な流れを装って、認めざるを得ない状況下で誓うようなキスまでさせて。
ここまでが黒瀬くんの思惑通りなのだとしたら、たいしたものだと思います。とんだ策士です。私たち読者も、黒瀬くんの策略にまんまとひっかかってハラハラしてきました。
ですが、たとえここまですべてが黒瀬劇場のシナリオ通りだったとしても、結果的には城谷さんが楽になれたので、そういう意味でうまくシナリオ通りにコトが運んで良かったです。
城谷さんにとってはここまでの過程は受難だったでしょうが、城谷さんの生みの苦しみに、やり方はともかく黒瀬くんが立ち会ったということになりそうです。
我々読者がその目撃者ですね。
城谷さんの本心
では、なぜ城谷さんは黒瀬くんを拒否できなかったのでしょうか。
答えは簡単です。
城谷さんは、本当はずっと誰かに自分のことを知ってほしい、暴いてほしいと思っていた。こんなに汚い自分でも、誰かにそのままを受け入れて認めてほしかった。自分のありのままを肯定されたかった。
汚くて醜くて欲深くて「気持ち悪い」自分を知られても、その気持ち悪い部分が、触れた誰かに移ってしまっても、それでも自分のことを理解して愛してほしかった。
かつて大好きな父親が自分に向けてくれたような愛を受けたい、そして自分が父親を無条件に愛したように、また誰かを愛したい。
本当は2か月の放置期間でも、城谷さんは黒瀬くんに追いかけて来てほしかったことでしょう。忙しさを言い訳に考えないようにしていても、心は欲していた。
その本心に黒瀬くんは早い段階で気づいていたように思います。
黒瀬劇場においては、会わなかった2か月間の空白ですら、城谷さんが本当は自分がどうしてほしいと思っているのか、また自分はどうしたいのかを考えさせるための、計算づくの放置期間だったのかもしれません。
過去のトラウマから1歩前進
タイミングがいいのか悪いのか、キスの直後に、エレベーターの復旧のめどが立ったとアナウンスが入ってきます。
気が抜けたのか涙目になっている城谷さんをたくましい腕で支える黒瀬くん。そのままぎゅっと抱きしめます。いいシーンです。。。
「偉いですね、城谷さん」大きな手で優しく髪を撫でながら、城谷さんを褒める黒瀬くん。以前頭に触れた黒瀬くんの手をバシッと振り払いましたが、今度は振り払いません。
かつてお父さんに頭をなでられたことを思い出す城谷さんは「なんで黒瀬くんは俺のこと褒めるんですか」「気持ちわるいのは俺なのに」「黒瀬くんを汚してごめんなさい」大粒の涙を流しながら必死で言葉にします。
あのトラウマになった幼少期の出来事から、頭をなでられることを拒否してきた城谷さんですが、ここでようやくまた人に甘え、本音をぶつけ、感情を吐露し涙を見せることができました。
手を洗うことで避け続けてきた人との深い関わり合いや、人を信じて愛することを、ここからもう一度黒瀬くんとひとつひとつやり直していくのでしょう。
次は黒瀬くんの過去編か
城谷さんのトラウマが一段落ついたら、今度は黒瀬くんでしょうか。
自分だけを受け入れて、自分以外を欲しないでほしい。他者を排除するような関係を城谷さんに求めているような黒瀬くんの歪みが、紐解かれる過去編になっていくのか。
策士でもあり、腹黒くもある黒瀬くんが一体どんな闇を抱えているのか。黒瀬くんの背景になっているものが何なのか、まったく想像がつかないのが不気味です。
そういえば黒瀬くんは、三上くんに対してまで嫉妬するような言葉を向けていましたね。あの時は城谷さんへのお仕置きのような形で収まりましたが。。。
「依存」という言葉をキーにして考えるなら、危険な香りもぷんぷんしてきますが果たして。
次回テンカウント25話も楽しみです。
長い!すみません
もっとさらりと感想を書けたらいいのですが、ついつい熱く語ってしまいます。それだけ大好きなんです。テンカウントが。城谷さんが、黒瀬くんが。そして深読みがw
最後までおつきあいいだだきまして、ありがとうございます。
いろんな事情で雑誌を買えない方やBLを読めない方、4巻発売まで待てないの!という方などの萌えのお役に立てれば嬉しいです。
またテンカウント25話の感想でお会いしましょう。
テンカウント25話 ネタバレ感想
4巻は10月30日発売です。各電子書籍サイトはこちら。ご利用の状況に応じてどうぞ。
宝井理人先生のその他のBLコミックスはこちら。
実写映画になったセブンデイズは「このBLがやばい2010」で5位受賞作です。
BLではない漫画も発売されています。2014年11月発売の、宝井理人先生の意欲作。
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