とうとう城谷さんが黒瀬君に本音をぶつけて涙を見せ、自ら黒瀬君の手にキスをして、これまでの自分から1歩も2歩も前進した4巻24話。
黒瀬君もそんな城谷さんのすべてを受け止めて「何があっても支える」という約束をしました。
こうなると次は、黒瀬君自身にいったいどんな背景があるのか、ここからようやく黒瀬過去編かなと思いつつの25話です。が、まだ黒瀬陸という人を掘り下げるには至りませんでした。
25話は4巻には入らなかったので、以下は5巻収録分からの感想になります。現在の最新話は25話で、26話は2015年12月14日発売のディアプラス1月号に掲載なので、また読んだら感想を書きますね。
というわけで、以下ディアプラス11月号のテンカウント25話(4巻の続き)のネタバレ感想 です。この25話の感想の下に、4巻収録の19話から24話のネタバレ感想も置いておきましたので、よろしければどうぞ。
扉絵がポップだけど
まずは扉絵が今回はとてもポッブです。まるで世界がひっくり返ったような、という文字通り無重力空間に放り出されたような、ひっくりかえった構図の2人。
もちろん現実世界ではなく空想世界の設定です。しかしその表情も態度も非常に対照的で、城谷さんは慌てふためいていますが、黒瀬君は安定の仏頂面、じゃなくて無表情です。
黒瀬君が脚を組み頬杖をつき落ち着き払って、城谷さんの脚をガッチリつかんでいるというのがポイント。「は、離してくださいっ」「嫌です」という会話が聞こえてきそう。
手ならまだしも、足ですからね。城谷さんを支えているように見せかけて身動きとれなくしている、ようにも考えられます。
ドS黒瀬くんのことなので、このまましばらく逆さまに足をつかんで、あたふたと困る城谷さんを見て内心楽しみそう。
よく考えたら、この状況で足をつかまれたら何もできませんよね?それならいっそ離してもらって、城谷さんがジタバタして、なんとか黒瀬君と同じ並びになるように動いたほうが、城谷さんにとっても動きやすいでしょうに。
もしや黒瀬君は城谷さんと対等な位置に並ぶのを拒否しているのでしょうか。あくまでも自分(だけ)が城谷さんを理解し支えているというところに価値を見出し、他者を排除するという心情の表れか。
親切と見せかけて、やはり黒瀬君の束縛心なのか。俺以外のところへは行かせないという独占欲なのか。
はたまたそんな甘っちょろい言葉では言い表せないような、黒瀬君のなかでうごめくドス黒い感情(過去がらみの)なのか。
扉絵ひとつでどんだけ深読みしてるんだ私。でもこの上なく楽しいです。
城谷さんがかわいすぎてどうしよう
しょっぱなから、カラーではじまっています。
エレベーターに閉じ込められ、泣く城谷さんを黒瀬君が大きな手と腕で包み込むようにだきしめているという前回からの続きのカラーはじまり。
うわーん、と声を上げて大粒の涙をこぼして泣きじゃくる城谷さん。これまで誰にも言えなかった本音を言って他人を頼り、子どものように美しい涙を見せます。
黒瀬君との身長差がいいわあ。しっかりと黒瀬君の背中(リュック)に手が回って、しがみつく感じも進歩です。手袋はしたままですが、人を頼り人に自分の気持ちをさらけ出すことができるというのは、ひとつの生きる術でもあります。
「気持ち悪いのは俺なのに」「黒瀬くんを汚してごめんなさい」泣きながら謝る城谷さんに、「城谷さんが汚れてるんですか?」と黒瀬君が優しく問います。
うなずく城谷さんがかわいい。うなずくだけでかわいいとかもう鬼!(のようにかわいい。)あー抱きたい。黒瀬君そこちょっと替わって。
きた!意味深発言の黒瀬君
しかしすかさず意味深発言をする黒瀬君。
「俺は汚れてドロドロになって傷ついた城谷さんが好きです」「そう思う俺も一生綺麗にならないくらい汚れてるんでしょうね」
ファ!?
せっかくのラブい雰囲気にさっと水を差すような黒瀬君の発言。いや、漫画の雰囲気的にはすごく温かい雰囲気なんですが、なんとも病的にも聞こえる黒瀬発言です。
これはどういう意味でしょうか。
「そんなふうに思う俺も一生綺麗にならないくらい汚れてる」
これは、「汚れているあなたを好きな俺は、じゃああなたと一緒で汚れてますね。しかも一生その汚れがきれいにならないですよ、俺。つまり俺も汚れてるから大丈夫です。」という城谷さんへの、ただのフォローの言葉なのでしょうか。
「一生綺麗にならないくらい汚れてる」と言わしめるほどの何かが、黒瀬君の過去にあったと考えられるような気がしないでもないですが。。。
こ、こわっ!は、吐いてしまえ黒瀬くん!いったい過去に何があったの!?黒瀬君が言葉足らずすぎて、無表情すぎて、こんなにラブい雰囲気なのになぜか安心できないのがもどかしい。
貴重な黒瀬君の微デレ顔
そこへページをまたいで、ドーン!
チラ見せにあったあの表情の黒瀬くんに、妙に安堵です。城谷さんの子どもみたいな泣き顔にも。
城谷さんの大粒の涙をぬぐってあげる黒瀬君のちょっと困ったような照れたような顔。
たとえ黒瀬くんにドス黒く重い過去があっても、大きな抱えるものがあっても、幸せになれるよねこの2人。と希望が持てる黒瀬&城谷さんの表情。こんな表情、きっとお互いにしか見せないですよね。
そこへタイミングよくエレベーターが開きます。
黒瀬くんに言わないと・・・
この後どうするのかと思いきや、台風接近の大荒れの天気ということもあり、タクシーがつかまりません。
突然現実的になり、気まずい思いの城谷さん。さっきまでいわば非現実の密室の中で黒瀬君に涙と本音を見せましたが、いざ現実に引き戻されると、次なる言葉が出てきません。
直帰することになった城谷さんですが、タクシーを待つ間、偶然会えることなんてこの先またあるかどうか分からないから、今のうちに黒瀬くんに言わないと・・・と、一生懸命ぐるぐると考えます。
城谷さんの頭の中のワードとしては、これからもまた会いたい、もうちょっと一緒にいたい、もっと話したい、そんなところでしょうか。もっと直接的にいうなら「行かないで」かな。
それとも1巻から取り組んできた、作品のタイトルにもなっている「テンカウト」つまり10個めの空白になっていたことを、克服したいからまた一緒に協力してほしいとか、そういうこと?もしくは、以前黒瀬君に気持ち悪いと言ってしまったことの自分なりの説明とか。。。
せっかくエレベーターで和解(?)できたんだし、あんないい雰囲気のままバイバイというのは物寂しい、名残惜しいと思っていてもおかしくありません。城谷さんはさっきまであんなに声を出して、子どもみたいに号泣していたわけだし。
ですが、城谷さんが思い切って口を開きかけたところで、タイミング悪くタクシーがつかまります。くうう、タクシーめ。せっかくやっとの思いで城谷さんが何かを言いかけたのに。(やつあたり)
黒瀬君、そこはもうちょっとこう
やっとのことでつかまったタクシーを家が遠い城谷さんに譲って、あっさりとその場をさろうとする黒瀬君。さっきまでの甘い雰囲気はどうした!ドライすぎるぞ!ここはもっとねちっこくなっていいのに。
言いたいことも言えないまま、立ち去ろうとする黒瀬君に城谷さんは慌てます。
冷静に考えれば「なにがあっても支える」とまで言った黒瀬君なので、ここはいったん離れてもまた会えるとは思いますが、城谷さんとしては今日なにかを言いたかったし伝えたかったのでしょう。
何より単純に、もう少し一緒にいたかったのでは。去ろうと背中を向けた黒瀬君に城谷さんががんばりました。
「い、一緒に乗ったらいいじゃないですか」黒瀬家に行き黒瀬くんが降り、城谷さんはそのまま乗車して城谷家に帰る。伏し目がちに赤くなっ懸命に紡いだ城谷さんの言葉。
「ダメですか?」
「ダメじゃないです」(どキッパリ)
ダメじゃないです、とは言いませんでしたが(ちぇっ)黒瀬君はその提案を受け入れて一緒にタクシーへ。こんなの言われて「ダメ」なんてもう誰にも言えまい。
城谷さんはなにをしてもダメじゃないです。なにもダメじゃないです。なんでもしちゃっていいんです。女王様なんです。落ち着こう自分。
多少の時間稼ぎができましたが、タクシーの中では今夜は朝までお天気は荒れ模様というラジオが流れ、相変わらずの沈黙です。
黒瀬君が、さっき何を言いかけたのかを聞きますが、城谷さんは何言おうとしたか忘れた、と言葉を濁します。
城谷さん妄想エロの思い出
ちらっと様子をうかがうように見た黒瀬君が、城谷さんをじっとガン見していて、その瞬間、ついこの間黒瀬家を飛び出した後、公衆トイレで妄想の黒瀬君とあんなことをしてしまったことをまざまざと思い出してしまい、ひとり赤面する城谷さん。
やっぱりぜんぜんうまくいかない。今まで努力しなかったことがいきなりうまくいくはずがない。
城谷さんは確かにこの年になるまで、友達も恋人も作らず自己完結して誰とも関わろうとしてこなかったので、当然すんなりと他人と人間関係を築けるはずもありません。
そうこうするうちに、無情にもタクシーは黒瀬家の前についてしまいます。「おやすみなさい」とクールに去る黒瀬くん。
「仕方ないんだ。。。」タクシーの中でしょんぼりする城谷さんが運転手に行先を告げ、車が走り出すところを、黒瀬くんは何を思うのか振り返って見つめています。
マンションのエレベーター前でカギを取り出し、城谷さんと交換したケースを見つめる黒瀬君。するとそこへ。。。
「黒瀬くん!」
というところで25話は終了でした。
いらっしゃいめくるめく夜へ
ぎゃああきたあああ!もどってきたね城谷さん。待ってた待ってたよ。いらっしゃいめくるめく夜へ、ウェルカムワンダーランドオオオ!
お泊り?お泊りですよねコレは。
テンカウントの城谷さんには、萌え転がって地球を何十週もさせられてる私ですが、まだまだゴロンゴロンする余裕と覚悟は持ち合わせております。
こんな時間にもうタクシーもつかまらないし(断言)、天気は荒れ模様で今帰るなんて危ないし(断言)、早く着替えないと城谷さん風邪ひいちゃうし(断言)つまるところ要するにもう帰さないよ!黒瀬君も読者も。わくわく。
というわけで、城谷さんがまさかの追いかけてきたという歓喜から、不器用ながらも口を開くでしょうが立ち話となるはずもないので、黒瀬家にゴーしてお泊り
2か月間のおあずけ期間があったんだし、空模様と同じく朝まで大荒れな濃厚な夜を過ごすがいいさ。え?黒瀬くんの過去?なにそれ。後でいいよ後で。全読者が許す。
1コマだけ出てきた黒瀬君の過去も、やはりあの背中は城谷パパなのか?つながってるのか?とかも、ぜーんぶ後でいいよ後で。全読者が許す。(2回目)
テンカウントは1回お休み
来月、11月14日発売の12月号はテンカウントがお休みなのて、26話は12月14日発売の1月号です。ああもう2か月が長い。
ドラマCDのほうの「テンカウント3」は12月2日発売です。(追記:ドラマCD3巻は2016年1月14日に発売延期になりました。)
来月のディアプラス12月号はテンカウントの本編はお休みです。ちなみに来月からは夏目イサク先生の新連載がスタート!やったね。
あのままタクシーで自宅に帰ればこれまで通り安心安全だったのに、あえてそこをぶちやぶって自分から動いて追いかけてきた城谷さん。
そうまでしても伝えたかったことがあり、衝動に突き動かされたにせよ自らの意思で動き、またひとつ自分の殻を破ったというだけでももう合格。
あとは黒瀬君が城谷さんを身体ごと一晩中甘やかしてあげるがいいよムフフ。というわけで、またも長い感想にお付き合いいただきありがとうございました。
また12月に26話でお会いしましょう。
追記)26話の感想書きました。
テンカウント26話 5巻ネタバレ感想 ディアプラス1月号
これまでの復習はこちら。
テンカウント1巻から3巻の感想です。
テンカウント1巻2巻 ネタバレ感想
テンカウント3巻 ネタバレ感想
3巻の続き、テンカウント19話以降の感想です。
テンカウント19話 ネタバレ感想
テンカウント20話 ネタバレ感想
テンカウント20.5 番外編ショート2本 ネタバレ感想
テンカウント21話 ネタバレ感想
テンカウント22話 ネタバレ感想
テンカウント23話 ネタバレ感想
テンカウント24話 ネタバレ感想
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