坊主にも、ましてや蜘蛛(クモ)になんてちっとも萌えないというそこのアナタ。私もリアル蜘蛛なんて好きじゃないですが、これは萌えました。何かに目覚めた!ハジ先生最高です。
前作が近未来設定の刑事と暗殺者でしたが、今作はまたガラリと違ったファンタジーBLで攻めてきました。
全力で趣味に走った作品ということですが、ハジ先生の引き出しの多さに感心してしまいます。いやあすごかった。多腕BLの傑作です。
この快楽はクセになる。
最初は体格差や風貌から坊主×蜘蛛なのかなと思って読み始めたら、逆!蜘蛛×坊主でした。半分人間半分妖怪の坊主・宗玄(受)と、蜘蛛の妖怪・ジン(攻)が旅する道中のお話です。
互いに孤独や悩みを抱えた2人が旅をしながらエロスを追求しつつ、絆や愛を深めていくというストーリー。エロかったり切なかったり、読み応えたっぷりな1冊です。
ジンのほうは宗玄のことが大好きで、一途でかわいいのにエロいことするときはテクニシャン。そんなジンに、男らしい宗玄はグズグズにされてしまいます。
宗玄は女好きで、最初はジンに対しても、とり憑かれているから仕方なくという感じでした。しかし、もののけであるジンに懐かれ一緒に旅するうち、宗玄はその情事の快楽のみならず、ジンそのものに心惹かれていきます。
「旦那」「旦那」と言って一生懸命ラブラブオーラをまとわせるジンがかわいくて、愛情たっぷりな態度が微笑ましいです。
健気でかわいくて一途だなんて、宗玄じゃなくてもこんなの絶対ほだされるし大切にしたくなりますね。
ジンが脱皮して皮が剥けると大きくなるwという、成長した姿になっていくのも良かったです。(成長は大人の姿の途中で止まります)
少年の姿から大人の姿になる過程を踏みつつHするとか、すばらしすぎるおいしすぎる。感涙。
2人が旅する中で過去や秘密が明らかになって少し切なくなったり、妖怪退治で戦ったりもするんですが、アクションシーンも少年漫画顔負けの迫力ですごく見ごたえがありました。
猫又とか妖狐などのサブキャラもいい味を出していて、いろんな要素がたっぷり詰め込まれてるのに、お話としてバラバラに散らからずにきちんとまとまっているのがすごい。
構成力、キャラクター設定、話の流れ、画力、どれをとっても無理なく深みがあって、冒険小説を1冊読み終えたような満足感がありました。
魅惑の多腕エロス
蜘蛛ということはですね、手がたくさんあるわけです。つまりHには便利なんですね。だってあっちこっちを同時進行で気持ちよくできるんです。魅惑すぎます。
挿れつつあっちこっちをお触りしまくるとかやりたい放題。乳首攻めエロい。なんて素敵なの。ため息が出てくるエロエロしさです。
しかも蜘蛛と言えば糸。この糸が超いい仕事してくれます。グッジョブです。そりゃあクセになりますね。
糸で緊縛プレイとか裸珠数プレイとか、とにかくプレイ三昧の濃厚エロスがもう最高でした。ありがとうハジさんあなたは神だ。
お次はタコですってよ
もうひとつのお話は「王子と蛸」
クモの次はタコです。
蛸・七尾(攻)と王子・八尋(受)の再会から始まるお話ですが、これまたタコの触手が多腕に負けず劣らずエロいことエロいこと!吸盤がいい仕事してます。
「王子と蛸」は坊主攻めなので、つまり表題作とこの短編で、坊主受けと坊主攻めの両方が課せられます、じゃなくて両方を楽しめます。一粒で二度おいしい。
タコにつきものの毒で痺れさせるとか、八尋のお尻を触手でほぐすシーン、そして吸盤で乳首いじりもエロくて最高に萌えました。
画力も高いしいろんなお話が描けるハジ先生なので、これからもストーリーは冒険してもらって、またぜひ違う角度から我々腐女子をギュンギュンいわせてほしいです。
エロも展開もすばらしく、満足度の高い作品でした。ファンタジーはちょっと苦手な人にも、人外だしどうしようかなと戸惑っている人にも、ぜひお勧めしたい大好きな作品です。
新しい扉が開いちゃうかと思います。
「坊主と蜘蛛」はその他各電子書籍サイトでも発売されています。ご利用の状況に合わせてどうぞ。
「坊主と蜘蛛」の番外編がこちらに収録されています。宗玄が春画を見ていて、それに気付いたジンは?というスペシャル番外編です。
ハジ先生のその他BL漫画。