表題作の「兄弟ですが、他人です。」に加えて、前後編の「鍵のかからない檻」の2作品が収録されています。
どちらも義理の家族もので、いわゆる血のつながらない家族という題材を、倫敦巴里子先生がどう料理してくれるのか。前者はギャグ寄り後者はダーク系シリアスで、また違った魅力を見せてくれました。
兄弟ですが、他人です。
親の再婚によって一緒に暮らすことになった親とその子供たち(兄弟)。表紙の右が父親の連れ子の弟(攻)、左が母親の連れ子の兄(受)です。
しかしエリートである父親の親族の猛反対があり、1年で両親は離婚。兄弟が一緒に暮らしたのは1年だけでしたがその後10年、兄弟は交流を保っています。
小さな劇団員の兄を溺愛しているツンデレな弟は、ブラコンというにはあまりある執着愛でお兄ちゃんを追いかけます。この弟は中二病でもあるんですが、兄への一生懸命な気持ちにはじーんときました。
兄の方も弟の気持ちに気づいていますが、弟のためを思う姿は健気でホロリ。
両親の方もとても好感が持てるナイスカップルで、父親の方が母親を溺愛している姿が微笑ましくて、兄弟だけでなくこちらのカップルも応援したくなりました。
結局また一緒に暮らすことになり、弟×兄の初エッチでは、期待していた濃厚エロ!はなく、ギャグとして楽しみましたw
一見さらりとしたギャグコメディのようでいて、ところどころ深いセリフやエピソードが盛り込まれていてそのテンポが小気味よかったです。
鍵のかからない檻
こちらは画廊を経営する36歳の遥(攻)と20歳の美形の美大生の大介(受)の歳の差カップルのダーク系のお話です。
昔、親を亡くした親戚の子どもだった大介を引き取って育てた遥は、そののち美しく成長し、自分への好意を隠そうとしない大介に対して、あくまでも保護者としてふるまいます。
ごくごく常識人という体の遥ですが、実際は隠された性癖があり、さらには大介に対する異様な執着も見え隠れする。遥は自分の変態的な性癖に苦しみ、それを受け入れる大介もまた遥に執着していく。。。
こちらは2話と短かったので、もう少し読みたいような、これはこれでちょうどいいような不思議な余韻に浸れました。
2つとも完全にライトな作品ではないものの、シリアスどっぷりでもなく軽妙に読ませる巧さが心地よかったです。
ただ欲をいうならもっとガッツリエロってくれてもよかったのよ?と言ってみるw倫敦巴里子先生の次回作にも期待しています。
その他各電子書籍サイトでも発売されています。ご利用の状況に合わせてどうぞ。
倫敦巴里子先生のその他BLコミックス。